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右前部島皮質とは何をしているのか?

脳というのは休むことがありません。

何にもやることがなくても脳はグルグルと活動する。

ふとやることがなくなると明日の予定や昨日の後悔、いろんな思考がぐるぐる回りだして決して休むことがないと思うのですが、こういった働きには脳のデフォルトモードネットワークというものが関係しているようです。

この領域は何もしていない時に活動して、ヒトにあれこれ余計なことを考えさせてしまうようなところなのですが、何か仕事をしだすと活動が低下する、そういった特徴があるそうです。

つまり仕事をする脳、課題を遂行するための脳領域が活動すると、それとシーソーゲームを行うようにデフォルトモードネットワークの活動が低下するという現象があるのですが、こういった現象の背景にはその間を取り持つ前頭頭頂ネットワークというものがあるというお話を昨日したと思います。

つまり

デフォルトモードネットワーク ⇔前頭頭頂ネットワーク ⇔ 課題遂行ネットワーク(背側注意ネットワーク)

というような仕組みになっていて、

間に入っている前頭頭頂ネットワークがスイッチングの役割を果たすという話だったと思うのですが、今日取り上げる論文はこれをもう少し詳しく見て、前頭頭頂ネットワークのどの辺が特に重要な役割を果たしているかについて調べたものです。

結論を述べると今日添付した画像の赤いあたり、つまり前帯状皮質と右の前部島皮質をつなぐネットワークが脳活動の切り替えに際して重要な役割を果たすそうです。

この中でもとりわけ右の前部島皮質がよりネットワーク上より重要なポジションにあることが示されています。

【要旨】

脳の中央実行ネットワークを必要とするような認知課題に際してはデフォルトモードネットワークの活動が低下することが知られている。 しかしながらこの切り替えに関する神経機構のメカニズムについては明らかになっていない。 今回機能的MRIを使用してこの切替に関わる神経機構について研究を行った。 実験では聴覚注意課題を用いて刺激の弁別に関わる脳活動を測定したところ、デフォルトモードネットワークから中央実行ネットワークに切り替わる際に、前帯状皮質と右前部島皮質のネットワークが活動増加が見られた。その中でもとりわけ右前部島皮質の活動が重要な役割を果たしていた。 ネットワーク解析や視覚注意課題を用いても同様の結果が得られ、この前帯状皮質と右前部島皮質のネットワークが外向的注意や内向的注意の切り替えに重要な役割を果たしていることが考えられた。

参考URL:A critical role for the right fronto-insular cortex in switching between central-executive and default-mode networks. 

コメント

繰り返し注意課題を行っているとデフォルトの状態でも前部島皮質の活動が高まるという論文を取り上げたことがあったけど

こういうのは脳のデフォルトの状態、つまり構えがかわって、より背側注意ネットワークにスイッチングしやすい状態になったというふうに捉えることが出来るのだろうか。

今、瞑想関係の研究を少し調べているのだけれども、瞑想を繰り返し行なっていると、右の前部島皮質の活動/体積が増加してという論文もあり

瞑想というのは脳のトレーニングとして捉えることも出来るのかなと思います。

そのうちまたしっかり調べてみたいと思います。

 

 

 

 

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