
注意におけるインターフェイス理論とはなにか?
今日取り上げる論文は注意のボトムアップ処理とトップダウン処理の関係についてのものです。
視覚の情報処理には二種類あって、一つはボトムアップ処理で、これは目に飛び込んできた情報をその差異情報から検出するシステムです。コンピュータの画像認識技術なんかは色の輝度やコントラストを自動検出して、文字認識や顔認識をしていると思うのですが、こういう情報処理の仕方がボトムアップ型の処理です。これに対してトップダウン型の処理というのは、自分でこれを見ようとして情報を拾うような、そんな情報処理です。
このふたつを統合するものとしてスポットライト理論というものがあります。
網膜に映しだされて視覚野からボトムアップ式に入った情報の中から、トップダウン的処理によって必要なものだけにスポットライトを浴びさせるように注意の焦点を絞り込むというような考え方です。
今日取り上げるのは、これと異なるインターフェイス理論というものです。
話がややこしくて、ひょっとしたら間違いがあるかもしれませんが自分が理解したのはこういうことではないかということです。
視覚だとイメージが湧きにくいので、いろんな状態で、ヒトの話を聞いている状態を考えましょう。
まわりに雑音がなければだまっててもボトムアップ式に相手の話は耳に飛び込んでくるはずです。しかし周りに人がいて雑音が増えてくれば、注意をしなければ耳に入ってこないし、騒音の中では、ときに類推して聞くというようなトップダウン的な処理がものをいってくるでしょう。
耳から入った音は視覚同様、差異に基づいたボトムアップ的検出から徐々に意味理解や情報の統合など高次なものに送られていくと思うのですが、インタフェース理論では、聞き取りの状態の難しさに応じて重点が置かれる段階が調整される、その調整をするのがトップダウン処理なのではないかということです。
これは会社組織で考えると、簡単な案件だったら係長決済(一次視覚野)でOK、すこし難しい案件だったら課長決済(V4)で、もっと難しかったら取締役会で決済(?)という風に、どこでボトムアップで上がってくる情報のどこで決済するのかを決めるのがトップダウン処理なのではないかという考え方です。
認知症が進んでくると、隣のベッドでの会話を自分に話しかけられてるとおもって、話を拾ってしまうことがあると思うのですが、これは前頭前野かどこかの問題でトップダウン処理がうまくいかなくて、わりと情報処理の初期の段階で情報を決済してしまうためかなと思いました。
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【要旨】
「ヒトの視覚野で情報処理できる量は限られており、視野に入った多くの視覚情報は互いに競合することとなる。この視覚刺激の競合状態は目標志向的なトップダウン的処理によって、あるいは差異に基づいたボトムアップ処理によって調整されることとなる。しかしこのトップダウン処理とボトムアップ処理の関係について明らかにすることは困難であったが、今回我々はある実験手法を用いることでこれを明らかにした。結果、注意の総量というのは、ボトムアップ処理で解決されなかった情報の量に関係することが分かった。」
参考URL:Interactions of top-down and bottom-up mechanisms in human visual cortex.
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