
「内側前頭前野の活動から自己に関する記憶を予測する」
普段感じる感覚の中に「違和感」というものがあります。
それはどこか不自然な髪の毛(かつら)だったり、どこか不自然な笑顔だったりいろいろなのですが、普段生活していても「なんかおかしいな」と思うことがよくあります。
はっきりとは意識できない、でも何だかしっくりこない、何だかかみ合わない、そんな感覚が違和感として感じられると思うのですが、この違和感というのは脳科学的に見るとどういうふうに捉えることが出来るのでしょうか。
脳の中には帯状皮質と呼ばれる領域があり、ここは脳のあちこちからいろんな情報が集まっていろんなところに散っていく、いわば脳の交差点、脳の交易都市に当たるような場所なのですが、なにかしら脳が矛盾した情報と当たった時この領域のある部分が活動することが知られています。
何だかおかしい、何だかしっくり来ない、なんだか胸がざわざわするいうような時は案外脳のこの部分が働いているのかなと思いました。
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【要旨】
過去の出来事をどれだけしっかり思い出せるかということは、その出来事があった時どのように認知されていたかによって決まりうるものである。本研究では自分自身に関する知識という情報がどのようにして処理されているかについて調査を行った。実験では一連の言語刺激を提示して、その言語刺激はどれほど自分に当てはまるかを評価してもらい、その時の脳活動を機能的MRIで測定した。また提示した言語刺激が(1)その後覚えられていたか忘れられたか(2)その言語刺激が自分と関係のあるものとして認知されたかどうかという2点で評価された。結果内側前頭前野が上記2点と関係して活動を強めることが示された。
参考URL:Medial prefrontal activity predicts memory for self.
コメント
詳しいことを書くとこの矛盾する情報に反応する領域は前帯状皮質と言われている部分です。
今日取り上げた論文は自分に関する情報を認知している時の脳活動に関するものなのですが
提示された情報が自分とは関係がない時にはこの前帯状皮質の活動が高まることが示さされており、これはこの領域が持つ矛盾検出機能と関係があるんじゃないかということが述べられていました。
ツッコミ上手な芸人さんたちはある種の賢さを持っていると思うのですが
あのツッコミの能力というのは違和感検出の前帯状皮質の働きがしっかりしているということなんだろうかなどと考えました。
きっと無意識的な知性というものもあるんだろうなと思います。