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脳の中の顔認識細胞とは?

ヒトの脳には「おばあさん細胞」というような、個別の顔情報をコードする神経細胞がものがあるそうです。

個別の顔情報をコードしているのか、そうでないのかはいろいろな議論があるようですが、ヒトやサルの側頭葉に、顔や頭部に選択的に反応する神経細胞があるのは確かなようです。

今日取り上げる論文はこの顔/頭部認識細胞についての総説になります。

横顔や正面の顔、斜めなど、それぞれの視点から見た顔/頭部情報をコードする神経細胞かあること、

これらの神経細胞が並行・統合して働くことで対象物品の認識が可能になること、

側頭葉でコードされたこれらの情報は注意に関わる頭頂葉領域に送られること、

これらの神経細胞群は、顔、頭部、視線、四肢躯幹をコードして、対象となった個体がどこの注意を向けいているのかをコードすることなどが述べられています。

【要旨】


「マカクザルの側頭葉、具体的には下側頭葉の外側と腹側、上側頭溝の下壁および基部に顔情報に選択的に反応する神経細胞が見つかっている。また上側頭溝の上壁においては、顔と頭の情報を前方や後方、側方など、それぞれの視点からの視覚情報をコードする神経細胞があることが知られている。これらの神経細胞群は3-5mmの幅で分散しており、それぞれの神経細胞群ごとに、その幅を反映させながら空間認知や注意のコントロールに関わる頭頂葉領域に投射している。これらの神経細胞は頭部を他の対象物と区別したり、特定の個人を判別したりすることに関わっていることが考えられる。それぞれの視点から得られるそれぞれの顔面や頭部の情報を処理する神経細胞が並行して活動し、それらの情報が統合されることで対象物品の認識がなされていることが考えられる。これらの顔や頭に対して選択的に反応する神経細胞というのは社会的注意を可能にしている神経細胞なのではないかという事が考えられた。左の横顔に反応する神経細胞は、他者の注意が左側に向いているときに最も強く活動する。他者と社会的に相互作用を営む上でこのような機能は重要なものになると考えられる。」

参考URL:Organization and functions of cells responsive to faces in the temporal cortex.
遺伝子検査のジーンライフ<Genesis2.0>

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