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離断症候群とは?

今日取り上げる論文は離断症候群の歴史についてです。

離断症候群というのは、脳のどこかの接続が損傷された場合、損傷された部位を含むネットワークがうまく回らなくなるという、そんな考え方だと思うのですが、

この考え方はずいぶん古く、ウェルニッケ失語で知られるウェルニッケが200年ほど前に唱えたことが知られています。

この学説がどのような変遷をたどって現在につながっているかについて述べられています。

【要旨】
「脳は様々な機能を持つ領域が連結されたものなので、その連結が離断されれば自ずと機能不全となる、離断症候群と呼ばれるこのシンプルな考え方は19世紀よりあったが、20世紀の脳機能の局在主義によって永らく忘れ去られてきた。しかし1965年に Norman Geschwindが「動物とヒトにおける離断症候群」を記してから再度注目を浴びることとなる。その論旨は白質線維の損傷や連合野の損傷によって離断症候群と言われる一連の症状が引き起こされる、連合野の損傷によって様々な症状が出てくるのは、この部位が運動、感覚、情動を中継する部位であるからだ、というものであった。彼の学説はその後20年間に渡り主流となるが、1980年台に連合野の局在的特殊性が注目されると、徐々に影響力を弱めることとなった。今日では技術の発達もあり、離断症候群や、その概念を拡張した過剰連結障害についても実際に調べることが可能となってきている。本稿では Norman Geschwindの論文発表40周年を記念してその理論の変遷、消長について述べる。」

参考URL:
The rises and falls of disconnection syndromes.

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