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ネットワーク理論とリハビリテーションへの応用

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今日取り上げる論文は、脳をネットワークとして捉える研究の総説と、その治験をいかにリハビリテーションに活用していくかについて述べられたものです。

脳がネットワークとして作動している以上、一カ所の不調がシステム全体に波及するので、脳機能を局在論的な立場で理解するよりはシステムの不調として捉えたほうが様々な病態を説明しやすいということ、

具体的には脳卒中においては反対側の一次運動野の過活動や、基底核病変での認知機能の低下などを挙げ、

こういったシステムレベルの変化を理解することが、対側の運動野を抑制して損傷側の運動野の活動を高めるような経頭蓋磁気療法のような新しいリハビリテーション方略を構築していく上で重要だということが述べられています。

【要旨】

「総説の目的:
 脳というのは分散的なネットワーク構造をとっていて、何か活動を行なうときというのはこれらが同調して活動することが近年の研究によって分かってきた。このことから脳損傷によってどういった行動上の障害が出現するのか、局在論とは異なった視点から、考えることが出来ると思われる。

近年の発見:
 機能的神経画像を用いた研究から、脳というのは何かしている時だけではなく、安静にしている時でさえ規模の大きいネットワーク上で同調して活動していることが明らかになった。さらに何らかの行動上の障害があるケースの安静時の脳のネットワークを調べると、構造的には損傷されていないにもかかわらず、ネットワーク上の同調活動が破綻していることが分かっている。このネットワークにおける機能的連結構造の破綻は局所的な脳損傷の後だけではなく、大規模な神経ネットワークにおける相互連絡に影響を与えるような状態の時にも見られることが分かった。

結論:
 脳をネットワークとして捉える視点は、脳損傷の病理をシステムレベルで捉え、回復の機序を理解し、新たなリハビリテーションの方略を構築していく上で重要と考えられる。」

参考URL:
The role of impaired neuronal communication in neurological disorders.

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