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ストレスは視覚処理にどのような影響を与えるか?

今日取り上げる論文は、ストレスが視覚処理にどのような影響を与えるかについて調べたものです。

結論から言うと

①ストレスを与えることで、刺激の検出に関係する視覚処理の初期段階は増強される
②ストレスを与えることで検出された刺激の解釈に関係する視覚処理の後期段階が減弱される

ということが脳波を使用した研究によって示されています。

これは、心霊番組を見た後、夜トイレに行くような時というのは、廊下になにか出そうな感じがして、ビクビクしていて視覚刺激に対して非常に敏感になっており(刺激の検出:視覚処理の初期段階の増強)、時に見えないふすまの影に人影を感じてしまう(刺激の解釈:視覚処理の後期段階の減弱)ようなものなのかなと思います。

この論文は視覚処理に関してのものなのですが、これを知覚処理一般に拡張して考えると、患者さんの注意力、集中力を引き出そうと過度のストレスを与えるような状況でリハを進めると、かえって知覚処理の後期段階が阻害されて、結果としていいパフォーマンスの獲得につながりにくいということなのかなあなどと考えました。
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【要旨】

「ストレスは知覚の処理過程に影響を与えることが知られている。近年の研究から、ストレスや不安を与えることで、注意のバランスが変性し、注意システムが前頭前野主導の課題遂行的な状態から情動関連領域主導の感覚-警戒型の状態に変わりうることが報告されている。今回脳波測定を使用した研究により、ストレスは視覚処理の初期段階を増強し後期段階を減弱することが示された。このことからストレスは視覚処理過程において初期と後期で異なる影響を与えていることが考えられた。つまりストレスは脅威の検出に関係する視覚処理の初期段階を増強し、課題の遂行に係る視覚情報の評価といった視覚処理の後期段階を減弱していることが考えられた。」

参考URL:Stress potentiates early and attenuates late stages of visual processing.

コメント

学生の頃ファミレスでウエイターのバイトをしていて

もともとが不器用でフロア全体を見ることができなくて、散々だったのだけれども

頑張ればどうにかなる、きちんと仕事ができないのは頑張りがたらないからだ、と思って自分を追い込んで追い込んで

そうするとなおうまくいかなくて、そんな私を見てたパートのお姉さんに「その”頑張ります”が問題なんだよね」とつぶやかれたことがあります。

ストレスと視覚処理の関係でもないけれど、過度のストレスを与えることは情報処理が疎外されて、結果としてパフォーマンスが落ちる。

その後居酒屋さんに就職したり、回復期の病院で働いたりして、うまくいかない→気合で頑張る→うまくいかない→。。を繰り返して、最近になってようやく頑張ることから少し距離を取ることができるようになりました。

厳密に言うと、頑張るような状況にならないように、日々少しずつ具体的に頑張る、というやり方に変えてきました。

人によって何がいいかは違うので一概にはなんとも言えないのですが、体力も精神力も人より劣る自分には今のやり方が向いているのかなと思います。

ストレスというのはある種の嗜好品だと思うので、これからもストレスを適度に嗜んでいきたいと思います(T_T)

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