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脳の中での扁桃体のポジションとは?

「頭では分かっているけど、許せない」

「理屈じゃないの、生理的にダメ」

ヒトのやることは混迷する国会のように首尾一貫性がなく、時に理解に苦しむこともあるのですが、こういった現象な何故起こるのでしょうか。

脳というのはよく言われるように新しい脳と古い脳の2階建てになっているそうです。

新しい脳というのは新皮質、すなわち視覚野だとか聴覚野だとか前頭前野、いわゆるぱっと脳を思い浮かべた時の表面に見える茶色のしわくちゃの脳のことです。

では古い脳というのはどういったものでしょうか。

この新皮質の下に隠れている古層の部分です。

図で示すとこんな感じです。

もう少し細かく見るとこんな感じで

いわゆる視床だとか扁桃体、中脳、脳幹、淡蒼球、いろんなもので出来上がっています。

脳というのは元々は、この古層の脳、ヒトの脳で皮質下領域といわれる部分がメインだったようです。

魚類-爬虫類-鳥類-哺乳類・・と進化が進んでいく中で、この古層の脳に新皮質と言われる部分が少しずつ乗っかってきて、脳というのは大きくなってきたそうです。

歴史で見れば、古層の脳、皮質下領域といわれる部分が親会社、

新皮質といわれる部分が子会社、そんな構造になっているようです。

親会社、子会社の例えで無ければ親ガメ子ガメの方がイメージしやすいかもしれない。

つまりはベースに皮質下領域といわれる古層の脳があって、その上に子ガメ、新皮質が乗っかっている、そんな構造になっているようです。

この親ガメである古層の仕事は個体を生かすことです。

なので自律神経中枢も個々にあるし、危険を察知する扁桃体もここにある、安定しない環境にオートマティックに適応して、個体を生存させる、そういった機能があるようです。

これに対し、子ガメである新皮質の仕事は何かというと、これは個体を活かすことではないかと思います。

親ガメがやってくれる生存本能をベースに、より個体の利得が大きくなるように、相手を出し抜けるように行動する。

こういった役割があるのではないかと思います。

進化が進むに連れこの子ガメは大きくなり、ヒトにおいては親ガメがかすむほどに大きくなったのですが、こうなるとどういったことが起こるでしょうか。

関係のねじれが起こるのではないかと思います。

ねじれ国会でもないのですが、形式的には親と子の関係があるのに、実質では立場の上下が逆転する。

これはその昔、セブン-イレブンの親会社がイトーヨーカドーだったり

フジテレビの親会社がラジオ局のニッポン放送だったり、そんな関係に似ているのではないかと思います。

今日取り上げる論文はこの皮質下領域と皮質領域の関係についてまとめたものですが、このよくまとまった図を見てそんなことを思いました。

扁桃体が親会社と子会社の窓口になってつないでいることが示されています。

【要旨】

「多くの情動的な刺激は知覚されることなく処理される。近年の研究により皮質下構造がこの処理に重要な役割を果たしていることが知られている。この皮質下構造は系統発生的に古層のもので、特定の機能的な役割を持ち、また皮質構造と連絡して処理を行う。この皮質下構造で処理される非意識的な知覚が意識的な知覚に影響して、個体の行動を変化させることを示す多くの知見が存在する。情動的な刺激が非意識的に処理される神経基盤がどのようなものかを知ることで、系統発生的に情動システムがどのように変遷してきたのか、またヒトにおける皮質と皮質下の活動の関係について理解を深めることが出来ると思われる。」

参考URL:Neural bases of the non-conscious perception of emotional signals.




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コメント

人の気持ちがふらふらと矛盾に満ちているのも、システムとしてねじれていているせいかなと思いました。

情に訴えるなんて言うのは、一昔前のライブドアのニッポン放送の株の取得みたいなものなのかなと考えたり、

いろんなことはフェアにいきたいものです。

でもこの「フェア」っていったい何なんだろうと思ったりします。

ヒトの作り出す文化というものは面白いです(T_T)

 

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