デフォルトモードネットワークの何がデフォルトなのか?
デフォルトモードネットワークというのは何もしていない特有の脳の活動だそうです。
何もしていないから脳もそんなに活動していないかというとそんなことはない。
デフォルトモードネットワークというのは格闘技で言う基本姿勢、つまり「構え」に似たところがあるのではないかと思います。
ボクシングにしろ空手にしろ北斗神拳にしろ、いろいろな構えがありますが、これはつまり、いつ何時でも攻撃にも防御にも移れるような静かだけどエネルギーに満ち溢れたそんな状態なのではないかと思います。
それゆえ何もしていない脳のデフォルトモードネットワークというのも相当にエネルギーを使っているようです。仕事が暇すぎるとかえって疲れるようなこともありますが、これは格闘技で言う構えの姿勢を長時間取り続けるような疲れなのかもしれません。
さて前置きが長くなりましたが今日取り上げる論文は、脳のこの「構え」が課題を連続的に行うことで変わることがあるのではないかということを示唆したものになります。
構えが変わるといえば剣道では上段の構えや中段の構え、下段の構えがあります。
状況に応じてもっとも適切な「構え」が変わってくるというのは人間関係でもあるでしょう。
上司に話しかけて行くときはそれなりに「構え」ていくし、他部署に行くときの「構え」というのもある。
つまりヒトは状況に応じて構え(デフォルトモード)を変えていると思うのですが、脳も同じようにこの構え(デフォルトモードネットワーク)を変えているのではないかということを示したのが今日の論文です。
ワーキングメモリ課題を繰り返し行っていくとデフォルトモードネットワーク(安静時の脳活動)が変化し、安静時でも両側の縁上回と島皮質の活動が増加することが示されています。
脳のデフォルトモード仮説とそれに関連する安静時の脳の低周波変動は近年神経学の世界で話題となってきた。本研究では以下の2点について考察を行う。まず一点は課題の遂行にともなって安静時に見られる自発的な思考が抑制されるのかどうかという点、二点目は注意課題を継続的に行わせることでデフォルトモードネットワークと背側注意ネットワークにどのような影響を与えるかという点である。今回2バックのワーキングメモリ課題を行っている時の脳活動を機能的MRIを使用して測定を行った。結果、課題を行っている時はデフォルトモードネットワークの活動が低下すること、さらに課題遂行時における背側注意ネットワークの活動が課題を継続して行っていく中で高まっていることが示された。この結果は課題を行う中でデフォルトモードネットワークが再構成されることを示した先行研究の結果に沿うものとなった。
注意にはボトムアップで入ってくるような注意とトップダウンで自分から探しに行くような注意の二通りがあるのですが、この後者の方の注意に関わるのが背側注意ネットワークのようです。
ワーキングメモリ課題ではこの背側注意ネットワークとデフォルトモードネットワークがシーソーゲームになっていて、どっちかが上がるときにはどっちかが下がる関係になっているようですが
課題を繰り返し行う中でデフォルトモードネットワークで縁上回の活動が高まるとしたら、
縁上回の近くには背側注意ネットワークの大事なハブである頭頂間溝があるのですが、この縁上回の活動がデフォルトで高まっている脳の構えというのは、背側注意ネットワークに遷移しやすい脳の構えなのかなと思いました。
思っただけで証拠があるわけではないのですが・・
だれか突っ込みをお願いしますm(_ _)m