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入院中の心疾患に対する祈りの効果

私の人生を振り返っても、本当に神様にお祈りしたことは数回程度だと思うのですが、

身内が病気の時というのは心底祈りたいような気分になります。

しかしながらこの祈りというのは本当に効果があるのでしょうか?

今回取り上げる論文は、心疾患で入院中の患者に対しての祈りの効果について検証したものになります。

Positive therapeutic effects of intercessory prayer in a coronary care unit population

この研究では、冠静脈疾患専用の病棟(冠状動脈疾患集中治療病棟;CCU)に入院した患者393名を対象に祈りの効果検証を行っています。

CCUに入院した患者は、十分な説明を受けたのちに、無作為に祈りを受ける群と受けない群に分けられ、どの患者がどちらに割り振られたかは、病院外部から祈る人以外は知らない設定で行われます(患者も医師も研究者も知らない状態)。患者一人につき、祈る人は3人から7人割り当てられます。

祈る役割の人は、キリスト教の新旧会派に積極的にかかわっている人で、患者のファーストネーム、疾患名、全身状態などを伝えられた上、毎日祈るように指示されます。祈り方については、祈る役割の人に一任される形で行われます。

結果を述べると、確かに祈りの効果はあったようで、CCUを離れたタイミングで見ると、祈りを受けたものは、85%が良好な状態であったのに対し、祈りを受けなかったものは73%が良好な状態で、統計学的には有意な違いとして示されたことが述べられています。

心疾患における退院後の祈りの効果はあいまいな結果に終わりましたが、

急性期の祈りの介入効果については、この論文を見る限りあるような気がして、興味深いなと思いました。

【参考文献】

Byrd, R C. “Positive therapeutic effects of intercessory prayer in a coronary care unit population.” Southern medical journal vol. 81,7 (1988): 826-9. doi:10.1097/00007611-198807000-00005

【要旨】

最も古い治療法の1つであるユダヤ‐キリスト教の神への執り成しの祈り(IP)の治療効果は、医学文献ではほとんど注目されていません。冠状動脈ケアユニット(CCU)集団におけるIPの効果を評価するために、前向き無作為化二重盲検プロトコルに従った。10か月以上にわたって、CCUに入院した393人の患者は、インフォームドコンセントに署名した後、執り成しの祈りのグループ(192人の患者)または対照グループ(201人の患者)にランダム化されました。入院中、最初のグループは、病院の外で祈っている参加クリスチャンによって祈りを受け取りました。対照群は受けませんでした。ユニット入所時に、カイ2乗および段階的ロジスティック分析では、グループ間に統計的差異は見られませんでした。入室後、すべての患者は入院の残りの間フォローアップを受けました。その後、IPグループは、有意に低い重症度スコアを示しました(Pは0.01未満)。多変量解析では、結果変数(Pが.0001未満)に基づいてグループを分離しました。対照患者は、IPグループの患者よりも頻繁に人工呼吸補助、抗生物質、および利尿薬を必要としました。これらのデータは、ユダヤ‐キリスト教の神への執り成しの祈りが、CCUに入院した患者に有益な治療効果をもたらすことを示唆しています。

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