能動的な注意システムと受動的な注意システム
先日半側空間無視をテーマにした論文でも取り上げたのですが、注意システムには、能動的な注意システムと受動的な注意システムの二つがあるそうです。
この能動システムと受動システムは別々に働いているんではなくて、それぞれ協調して働いているようです。
具体的には、喫茶店に腰掛けて街角をぼんやり眺めていると可愛い女の子が視界に入ってついつい目で追ってしまうというような場合は、視界に入るまでが受動的注意システムで、そこから目で追ってしまうのは能動的注意システムということになるのではないかと思います。
今日取り上げる論文は、女の子が視界に入ってからの注意システムである能動的な注意システム、すなわち背側注意システムについて調べたものです。
背側注意システムというのは頭頂葉背側がネットワークの中心にあるのですが、具体的に言うと頭頂間溝と言われる部位のようです。
頭頂間溝:
この頭頂間溝から目を動かすことに関わる領域である前頭眼野に連絡があって、能動的注意システムを作っているようです。
実験で能動的な注意が必要な状況の脳の活動を調べてみると、前頭眼野→頭頂間溝→視覚野の一方向的な流れがあり、これが視覚のトップダウン的なコントロールを示しているのではないかということが述べられています。
【要旨】
「被験者に事前に先行刺激を与えることによって対象の検出や行動反応に改善が見られることが知られている。これは前頭葉や頭頂葉からのトップダウンコントロールによって感覚野の活動が調整されるためであると考えられている。今回、前頭葉の前頭眼野と頭頂葉の頭頂間溝が視覚野の活動にどのように影響しているかについて調べた。結果、前頭眼野から頭頂間溝を経て視覚野への経路によって視覚野の活動が調整されるが、これと反対の経路を示す反応は殆ど見られなかった。これらのことから視覚的な注意が必要な状況に応じて、前頭眼野と頭頂間溝が視覚野の活動を調整すること、またそれに先立ち前頭眼野が頭頂間溝の活動を調整していることが示唆された。」