ブローカ失語とウェルニッケ失語はどこまで同じか?
今日取り上げる論文は失語症患者の語彙理解能力について調べたものです。
失語症には言葉がうまく出なくなるブローカ失語(運動性失語)や聞いている言葉がよくわからなくなるウェルニッケ失語(感覚性失語)というもの、あるいはその混合型などいろんなタイプのものがあるようです。
一般に言葉がうまく出なくなる失語、ブローカ失語では聞く能力は比較的保たれていているとされているようですが、
この論文では様々な失語症患者や健常高齢者を対象に、いろんな条件で単語を聞かせる実験を行い、ブローカ失語でも単語を聴きとって理解する能力が低下していることが示されています。
このような結果から、古典的な失語の分類、ブローカ失語やウェルニッケ失語というのは別々の症状ではなくて一連の連続した症状として捉えられないかということが述べられています。
【要旨】
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「本研究は失語症患者の語彙処理過程の脆弱性について検討したものである。古典的な失語症モデルではブローカ失語は単語レベルでは理解能力の低下が見られないとされてきたが、最適以下の環境下においてこの能力がどの程度保たれるのかについて検討した。音響的に歪ませた状態を組み合わせて(フィルターを掛ける、または速いスピードで聞かせる)、失語症患者の語彙理解がどのポイントで阻害されるのかについて調査した。結果、最適以下の環境下では失語症患者の語彙理解は乏しいものとなり、失語症における言語障害は連続的なものであることが考えられた。」
参考URL:Exploring the processing continuum of single-word comprehension in aphasia.