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脳の中で注意の切り替えはどのようになされているのか?

今日取り上げる論文は注意の切り替えについて調べたものです。

注意というのはいろんな物があるそうです。

例えば目の前に患者さんがいたとして、セラピストの注意は瞬間的に色々切り替わっていくと思います。

表情、肌色、手足の動き、体型、膝は痛さ、バランスのあんばいなどなど、瞬間的に注意を切り替えながら患者さんを評価するのではないかと思います。

同じ物を見るにしても、動きで見たり、色で見たり、空間的な広がりで見たり、その時々で、ヒトというのは注意を切り替えていくそうです。

車を運転している時には、車の形に注意してたら事故になるでしょう(大抵の場合は車の動きに注意がシフトしていると思います)。

何かをデッサンしている時にモデルの動きに注目してたら正確なデッサンはできないのではないかと思います。

このように人の注意というのは同じ何かを見ている時でもいろいろでそれが切り替わっていくとき脳がどのように活動しているかについて調べたのが今日の論文です。

実験では画面上に現された点の色と動きの注意の切り替え課題を行ったのですが、色と動きの切り替えに際して働く脳の領域は別々のものだったそうです。

つまり色や形など、それぞれの特性について、それ専用の注意切り替えに際して働く脳の領域があることが述べられています。
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【要旨】

「前頭-頭頂ネットワークは視覚的注意のコントロールに関わっていることが知られている。しかし視覚的注意のどの範囲を調整するのか、どのような特性を持っているのかについては明らかにされていない。近年の研究によって、注意を向ける対象が物品であるにしろ、あるいは何らかの空間にしろ、注意の切り替えや注意の保持に関わる領域があることが示されている。本研究では対象の特性に基づく注意のコントロールについて、事象関連機能的MRIを使用して調査を行った。実験では被験者に画面に映し出される点が動く方向や色を変えるのを観察させ、その変化を検出させる課題を行った。結果、色と動きを選択的に判別する領域が初期視覚野に存在することが確認された。さらには注意の切り替えと注意の維持に選択的に働く領域が前頭-頭頂領域で確認された。このような選択的な活動によって、色や空間などに対する注意の切り替えの調整がなされていることが考えられた。」

参考URL:Cortical mechanisms of feature-based attentional control.

コメント

患者さんを見ていても、練習で実際に歩くのと、実際に生活場面で歩くのは大分違っていて

これはひとえにいろんな所に注意を向けなければいけないせいだと思うのですが

例えば病棟なんかだと、止まっていた車いすが急に動き出したり、曲がり角から急に誰かが飛び出してきたり、

注意を動きや形、その瞬間瞬間で切り替えて行かなければいけなくて

その意味で注意の切り替えというのは大事になると思うのですが

その辺も加味した介入が出来ればいいなあと思います。

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