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ミラーニューロンシステムと言葉はどのようにつながっているのか?

ヒトというのは特殊な生き物です。

何が特殊かというと言葉が使えるという点で他の生き物から抜きん出ています。

地球上にはおよそ1000万種近い生物種がいると推定されていますが、言葉らしい言葉を使えるのはその中でもヒト科一種類のみ。

この1000万分の一という特殊な能力は神経科学的に考えてどういった基盤に立っているのでしょうか。

今日取り上げる論文は進化論的に見た言葉の獲得についてミラーニューロンシステムと模倣の関係から考察したものです。

ミラーニューロンシステムというのは、端的に言えばモノマネに関わるシステムです。

子供というのはモノマネを通じていろんなことを学習していきます。

子供にかぎらず大人も見て学びます。

職人さんはその包丁さばきを親方の仕事を見て学びますし、営業職の新人は先輩の姿を見てお客さんとの間のとり方を学ぶかもしれません。

考えてみれば「見る」ことは感覚であり、「する」ことは運動であり、まったく別々のシステムのような気がするのですが、ヒトの脳にはこの「見る」ことと「する」ことを上手に取り持つようなシステムがあり、これはミラーニューロンシステムとも呼ばれています。

このミラーニューロンシステムがあるお陰でヒトは他の生き物と比べ物にならないくらいモノマネが上手なのですが、この論文によるとこのミラーニューロンシステムがヒトに「言葉」をもたらしたといいます。

なぜか?

このミラーニューロンシステムというのはヒトだけでなく、ゴリラやチンパンジーといった他の霊長類にも原初的なものが認められるそうです。

それゆえ他の霊長類もそこそこ顔真似や口真似というのもできるそうなのですが、その顔真似、口真似の一つとして舌打ちというのがあるそうです。

「チッ」とか「チュッ」とかいうあれです。

サルは互いにこの舌打ちを真似しあうことでコミュニケーションを図っているそうですが、この舌打ち動作の音声部分だけが発達して言語になったのではないかということが述べられています。

【要約】
サルの運動前野にあるF5という領域には自分が運動しているときにも、他のサルや実験者が運動しているときにも等しく活動する神経細胞が存在する。本稿では、これら”ミラー”ニューロンと呼ばれる神経細胞の性質について説明をし、これらの神経細胞が観察された動作を”表象”しているのではないかということを述べる。そしてこの表象作用が動作の理解の基礎になっているのではないかということを述べる。そしてヒトを対象にした近年の研究の結果を基に、ヒトに見られる外側皮質を中心とした言語的なコミュニケーションシステムは、手と口のジェスチャーの認識に基づいた太古のコミュニケーションシステムに大きく由来するものではないかということを述べる。

参考URL:Premotor cortex and the recognition of motor actions.

コメント

まあ、どこまで本当かはわかりませんが・・・(-_-)

それでも子供を育てているとそれもありかなと思います。

今自分の子供は一歳半なのですが、子供が笑えば自分も笑うし、子供が泣けばわたしも悲しくなる。子供の顔とわたしの顔がミラーシステムよろしく鏡写しになって響き合っている。響応している。

ミラーニューロンシステムというのは子どもと親の関係のように、個体と個体を響き合わせるシステムだと思うのですが、「ことば」というのはアンプのようにこの響き合いを拡幅し

活版技術とインターネットがそれを加速し

古代ギリシアの哲学者の悩みは21世紀のわたしに響き

内戦に苦しむ中東の若者の思いは瞬時に世界に響き渡る、そういったことが可能になるのだろうなと思います。

私達は時間と空間を超えた響き合いのシステムの中に住んでいるんだろうなと思います。

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