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「コミュニケーション的な相互作用における間違いと偽りの認識」

赤ずきんちゃんといえば悪い人の言うことを素直に信じちゃダメだよという教訓話の代表のようなものですが、それにしても赤ずきんちゃんはなぜ狼に食べられるような羽目になったのでしょうか。

赤ずきんちゃんは子供とはいえ何も知らないわけではありません。物語の節々で何かが違うということを認識はしていますが最後の最後まで騙されているという自覚がない。なぜ赤ずきんちゃんは狼の嘘を見破れなかったのでしょうか。

今日取り上げる論文は嘘を見破る能力について少年少女を対象に実験を行ったものです。相手の嘘を見破るというのはなかなか難しいことですが、相手の言動が間違いだということは比較的容易に認識できます。

これはお店に行ってお釣りが300円返ってくるはずが100円しか返ってこなかったら、相手が間違えているか、相手が自分を騙そうとしているか2つに1つだと思うのですが、実験ではやはり小さい子供というのは相手の間違いを認識するのは上手にできるけど、相手が自分を騙そうとしている、嘘をついているというのはなかなか見破れないことが示されています。

単に間違いを発見するだけだったら戻ってきたお金だけを見ればいいけど、相手の嘘を発見するためには相手の心も見なければいけない。

この心を見る能力は年齢が上がって徐々に身についていくため、相手の嘘には気づきにくいのではないかということが述べられています。

【要旨】
本研究はコミュニケーション場面における間違い認識能力と偽り認識能力について調査を行ったものである。仮説として相手の間違いを認識するほうが相手の偽りを認識するよりも容易であること、また簡単な間違いよりも難しい間違い、簡単な偽りよりも複雑な偽りのほうが認識しづらいということを想定して低年齢の学童を対象に実験を行った。結果、やはり低年齢の子供ほど偽りを認識しづらい傾向が見られた。しかし簡単な偽りと難しい偽りでは難しい偽りのほうが認識されやすく、これは難しい認識のほうが矛盾点が多くそれだけ気づきやすいためだと考えられた。

参考URL :Recognition of mistakes and deceits in communicative interactions

コメント

偽りの定義についてですが、論文によると

相手が実際にやっていること
|       |
(=)     (≠)
|       |
相手の意図(≠)相手の言っていること

の関係の時には相手は偽っているということで

相手が実際にやっていること
|       |
(≠)     (≠)
|       |
相手の意図(=)相手の言っていること

の時は相手が間違っているという定義のようですm(_ _)m

わかりづらい図だったら申し訳ないのですが・・

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