注意を作り上げる要素とはなにか?
普段注意障害のある患者さんを見ていると、「この人、動けるけど家に帰すのはこわいな」などと思うことがあると思うのですが、今日取り上げる論文は視覚的注意について、どのような要因が注意に絡んでくるかを調べたものです。
例えば、通勤途中の細い小路を白くて太ったネコが全速力で横切っていったとして、そんなことがあれば注意は自然とそこに向けられると思います。
こういった条件で、どのような外部刺激が注意を惹起するのかについて過去の研究を元に考察したのが今日の論文です。注意を惹起するのは、色か(白色)、大きさか(太っている)、対象固有の性質(ネコ)か、周囲の明るさか、動き(全速力で横切る)か、目の前に提示されるどのような情報がきっかけになって注意が惹起されるかということを調べたものです。
注意が散漫になって食事が進まない認知症の患者さんや、あるいは注意がなかなか大事なところに向かない左方麻痺の患者さんのことを考えるとなかなか興味深いなと思いました。
結果を述べると先行研究によって、注意の惹起にほぼ確実に関わっているだろうとされているのが、色、動き、大きさ、方向性といったもので、あまり関係がないだろうとされているのが、新奇性や視覚流動(車を運転している時の視界の流れ)、意味的な要素(ネコ、昆虫などの特定の意味を持つ何らかのカテゴリー)などが挙げられています。
【要旨】
「あなたが街の中心地に向かって車を走らせると、他の車両やトラックが様々な方向からやってきて、歩行者は交差点でぞろぞろと歩き出し、風は新聞紙を道路の側溝に吹き飛ばして、ハトは車の窓にフンを落とす。こういった事態は非常に過酷でストレスの多い状況ではあるが、あなたはそれを困難ともせず、中心地を横切って街の向こう側に到着する。しかしなぜこういったことはやっかいで、あなたはこのやっかいごとにどう対処しているのだろうか?」
参考URL:What attributes guide the deployment of visual attention and how do they do it?