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脳の中のイデア:言葉の処理とミラーシステム

今日取り上げる論文は、ことばというものが脳の中でどのように保持されているかについて調べたものです。

何か頭の中にことばをとどめている時、それがなにがしか視覚的な像、あるいは聴覚的な音響として頭に留められているのか、あるいはそんな体性感覚的なものではなく、より抽象的で身体的な要素を含まない純粋な「ことば」として頭のどこかに留められるのかを調べたものです。

結論を述べると答えは両方で、基本的には目から入った言葉を保持するときには視覚情報処理の関係した領域が活動しており、

耳から入った言葉を保持するときには聴覚情報を処理する領域が活動しているのですが、ミラーシステムを構成する上側頭溝後部(図のposterior-STS)

では視覚と聴覚の両方をコードする領域が見られたそうです。

【要旨】
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「何十年も研究されているものの、いまだに言語的短期記憶がどのように貯蔵されているのかについては意見の一致が見られていない。ある研究者は音韻コードは抽象的な形で保存されていると主張し、また別の研究者はより体性感覚にそった具象的な形で保存されると主張している。今回我々は使用モダリティがことなる二つの言語である手話言語と音声言語を対象に機能的MRIを使用した研究を行い、この言語的短期記憶がどのような形で保持されるのかについて検証を行った。実験では手話言語と音声言語のバイリンガルの対象者に、手話と音声による短期記憶課題を行い、その時の脳活動を機能的MRIを使用し計測を行った。結果、記憶の保持と相同してそれぞれのモダリティに相同する部位の活動が見られた。このことから言語的な短期記憶は体性感覚に依存した形で保持されることが考えられた。しかしながらこの二つのモダリティに共通して記憶の保持に活動する領域も存在した。以上の結果から言語的短期記憶は体性感覚に依存した形で保持されるが、同時に体性感覚には依存しない形でも保持されることが考えられた。」

参考URL:Neural organization of linguistic short-term memory is sensory modality-dependent: evidence from signed and spoken language.

コメント

多分、何をするのはどこというような話ではなくて

体性感覚後部上側頭溝頭頂間溝腹側運動前野の流れがあって

このネットワークが一定の仕方で活動するときに何らかの意識現象がポンッて随伴して出てくるのであって、どこがどうというような話ではないのかなとも思ったりします。

現象というのは個物に還元できないのかなと思ったりします。

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