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半側空間無視患者にはどのように声掛けをしたほうがよいのか?

どこまで本当かわかりませんがメラビアンの法則と言われる法則があるそうです。

これは人が話している時影響をあたえるのが、ことばそのものが一割、声の抑揚などの音声情報が4割、見た目などの視覚情報が5割という、そんなものだったと思います。

身だしなみをきちんとして、自信たっぷりに無意味なことを話す人のほうが、ぱっとしない格好でぼそぼそと真実を語る人よりも信頼されやすいということはよくあるのではないかと思うのですが、そんなことかなと思います。

声の抑揚がことばそのものの4倍の影響力があるとしたら、いったい声の抑揚というのはどういった情報を含んでいるのでしょうか。

棒読みでは感情が伝わってこないという言葉もあるように、声の抑揚が伝える内容は「情動」なのではないかと思います。

盲視の実験で取り上げたように、視覚であれば情動的な情報というのは扁桃体の働きもあってか、スッと脳に情報が上がってきやすい。

今日取り上げる論文は情動的な聴覚情報が半側空間無視患者においてどのように処理されるかについて調べたものです。

左半側空間無視といわれる症状では、左側のいろんな情報が見えているのに、聞こえているのに、情報の取りまとめの段階がうまくいかなくて、左側の情報が認知されにくくなる病態なのですが、やはり情動的な音声であれば、よく認識されることが示されています。

この結果から情動的な聴覚情報は聴覚モダリティを駆動させる働きがあるのではないかということが述べられています。



【要旨】

「情動的な視覚刺激がどのように処理されるかについての研究は数多くなされてきた。これらの結果から情動的な情報というのは意識的で選択的な注意に関わる神経機構とは独立した形で処理されるのではないかということが言われている。このことを検証するために6名の左半側空間無視患者を対象に実験を行った。この6名の患者はいずれも両耳から聴覚刺激を入力した場合左側の音声認知の消失を示していた。実験では3つの異なる情動のトーン(怒り、恐れ、幸福)が無意味音声を示されたものと中立的な音声が様々なパターンで両耳に提示された。結果、情動的な音声は中立的な音声と比較して失敗率が低下することが示された。またこの実験の行動結果と脳損傷の関連についても調べられた。結果、情動的な音声認知の処理に右腹側前頭前野もしくは右上側頭葉が関係してることが考えられた。これらのことから情動的な音声は、肯定的なものも否定的なものも聴覚モダリティを駆動することが考えられた。」

参考URL:Effects of emotional prosody on auditory extinction for voices in patients with spatial neglect.

 

 

 

 

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