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注意における直列処理と並列処理とは?

平成生まれの人は知っているかどうかわかりませんが、一昔以上前に「ウォーリーを探せ」という絵本が流行ったと思います。

ごちゃごちゃと人がいっぱいいる絵の中からウォーリーを探すというあれです。

上図参考URL

余程の能力の人でなければあれが一発でわかるという人はいないのではないかと思います。

右から左へ、上から下へ、順々に視線を移して見つけていくのではないかと思います。

こういったことからウォーリーは順々に探して行かなければいけないような難しい視覚対象だということがいえるでしょうか。

こういうのは時と場合によっていて違うんじゃないかと思います。

もしウォーリーが水族館の水槽の中で魚に混じって泳いでいる絵があったらすぐに見つけられるでしょう。

こういった情報処理、何かをパッと見てパッと分かるような情報処理、例えば黒の中から赤を探すといった情報処理は並列処理と呼ばれるようです。

つまり黒も赤も並列に一緒にぱっと処理してぱっと見分ける。

これに対して街の中のウォーリーを探すようなときには順列的に、順序良く情報処理していく。こういった注意は直列処理的な注意ということができるのではないかと思います。

何かを探すといった時にはパッと見て分かることもあるし、順々で探して行かないとわからないこともある。しかもいつもそうだというわけではない。

順々で探さなければ分からないようなウォーリーも砂漠の中にひとりといった絵では一発で分かるでしょう。

スイミーのように黒い魚の中の紅一点でパッと見てすぐ分かるのもあるけれど、あれが赤色だらけの魚の中にいたらだったら、それこそ目を皿にして順々に探していかなければどれがスイミーか分からない。

こんなふうに比較的複雑な視覚対象であっても、比較的シンプルな視覚対象であっても、時と場合によって並列処理で探せるのか、直列処理で探せるのかも違ってくる。

今日取り上げる論文はこういったことについて調べた論文なのです。

論文で提示されたモデルを図示するとこんな感じになると思います。

      視覚刺激
       ↓
   選択的神経集合が存在する(色、方向、顔、身体・・)
  yes↓         ↓no

前注意的処理       注意的処理
    ↓          ↓

低次視覚野処理or   対象の側方との比較で
高次視覚野処理    すぐに選別可能

低次↓    ↓高次  no↓   ↓yes

並列処理   直 列 処 理   並列処理

この図式でいけば赤色を探すといったシンプルな注意課題も場合によって並立処理だったり直列処理だったり、シマシマのシャツでメガネをかけた白人を探すのも難しかったり(並列処理)簡単だったり(直列処理)、対象と状況の組み合わせで変わってくるのが分かるのではないかと思います。

【要旨】

「ある視覚対象が他の対象と明確に異なっていて容易に区別できるようであれば、その対象は「目に飛び込んでくる(色や方向などの“並行的な”視覚処理)」ことが知られている。しかしもしその識別に注意を要するような課題(回転したLとTを識別する、あるいは緑-赤と赤-緑の円盤を識別する)であった場合、“順列的な”視覚処理が必要とされる。視覚探索課題においても、二重課題においても注意が必要とされるが、これらのいずれに対しても何らかの一元的な注意機構が働いていると考えられている。本稿ではこの注意が多元的なシステムであることを示す。本稿では本来、注意なしに他の対象と容易に区別できるような刺激であっても「目に飛び込んで」こないようなケースや、あるいはその逆のケースについて取り上げる。言い換えれば視覚探索課題と二重課題は異なる次元の注意資源に基づいて行われている。このことは神経細胞の選択的反応性や受容野の大きさの効果によるものと考えられた。」

参考URL:Visual search and dual tasks reveal two distinct attentional resources.



コメント

ウォーリーを探せで検索してたら「ウォーリーを探さないで」という動画が見つかって死ぬほど怖かったです。心臓の悪い人はほんとうに見ないでください。

こういのは注意機能と扁桃体の関係で説明が付きそうだけど、いや、怖かったです(T_T)

 

 

 

 

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