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恐怖と扁桃体の関係とは?

勇気がある、だとか、怖いもの知らず、という表現があります。

世の中には危険に対して過度に過敏な人もいれば、こっちが見ていて怖くなるくらいリスクに対して何の躊躇もしない人がいる。

これはどういうわけでしょう。

今まで繰り返し取り上げてきたように、脳の中の扁桃体という部分が危険の察知に重要な役割を果たすようです。

脳の真ん中辺りにでんと構えていて、視覚や聴覚、記憶や自律神経、いろんな領域と結びついてはフィードバックをかけて、個体を危険から回避させるように反応させる、そんな役割があるようです。

臨床的にこの扁桃体の損傷が、危険察知能力の低下につながることは知られていましたが、実証的に脳の活動を見て調べた研究はなかったそうです。

今日取り上げる論文は扁桃体の硬化症をきたした患者を対象に実験を行い、恐怖表情を見せている時の脳活動を調べたものです。

通常であれば、恐怖表情を見せた時には、紡錘状回という顔情報処理に関わる領域の活動が高まるのですが、扁桃体損傷患者ではこの領域の活動の変化が見られないことが述べられています。

【要旨】

「情動的な視覚刺激は視覚野の活動を高めることが知られている。この活動の変化が扁桃体による遠隔的な調整によるものかについて内側側頭葉の硬化症をきたした患者を対象に機能的MRIを使用して実験を行った。26名の扁桃体、海馬、あるいはその両方を損傷した患者と13名の健常者を対象に実験を行った。実験では恐怖表情と中立的な表情を注意を伴わせた場合と、注意を伴わせない場合の両方で被験者に提示し、その時の脳活動について調べた。結果、紡錘状回の活動はすべての被験者で顔情報の提示で増加を示したものの、恐怖表情に関しては扁桃体損傷患者は紡錘状回の有意な活動の増加が認められなかった。」

参考URL:Distant influences of amygdala lesion on visual cortical activation during emotional face processing.

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コメント

仕事をしていて社長さんなんかを見ていると、やはりというか怖いもの知らずな人が多いような気がして

こちらが「危ないからやめたほうがいいですよ」なんていうのも、自宅に退院してからどんどんやって、それでそんなに問題がなかったりする。

きっと、こんな感じでリスクを取って事業を拡大してきたのかななんて考えるのだけれども

実は社長さんのほうが合理的な判断で、スタッフの方が扁桃体に振り回された不合理な判断なんじゃないかと思ったり

きっと毎日が生きるか死ぬかの類人猿の時代には、この扁桃体の危険回避機能がよく働いていたんだろうけど、人間社会が発展して、政治機構や法制度、経済システムがそこそこにうまく

回っている現代では、余程のことがなければ生きるか死ぬかということはありえない。

システムとして安定したこのヒト社会では、この扁桃体の働きというのは裏目に出やすいんじゃないか、過剰に働いて合理的な判断が出来ないんじゃないか、だからこそ扁桃体の活動の仕方が普通と少し違うような人たちが成功できるんじゃないんだろうか、そんなことを考えました。

さて先日のコメントの続きのトロッコ課題と倫理、痛みの件ですが、すみません、長くなりそうなので、明日また取り上げたいと思います。

なんだか長くなりそうなので、また明日日を改めて書こうと思います(T_T)

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