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恐怖情報と扁桃体の関係とは?

なにか怖いものが目に入るとヒヤッとすると思うのですが、このような反応には扁桃体が関係しているようです。

今日取り上げる論文は恐怖情報の処理に扁桃体がどう関わるかについて調べたものです。

これによると扁桃体の恐怖情報処理には2つの段階があるそうです。

一つは怖いものを見て0.1秒程度でおこる自動的、本能的な反応で、この反応によって身がすくんだり、血管が拡張したりするそうです。

もう一つは0.5秒前後で起こる記憶に基づいた反応で、扁桃体が長期記憶領域と連絡して、過去の経験から恐怖情報を処理するそんな段階があるそうです。

扁桃体が損傷した患者で実験を行うとこの0.1秒と0.5秒程度の反応が減弱していることが示されるそうです。

それでは恐怖情報が全く判別できないかというとそんなこともなく、普通の人と同様どれが恐怖を示す情報かということはきちんと理解できる。

加えて、この情報処理を裏付けるような神経活動が刺激定時後0.2秒前後の段階で見られる。

こういったことから恐怖情報の処理というのは何も扁桃体の専売特許ではなく、他の神経領域によって処理される部分もあるのではないかということが述べられています。




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【要旨】

「扁桃体は生体に脅威を与えうる情報を感受して視覚野などの他の領域の反応を調整すると言われている。このような調整がどのように行われるか議論が行われているが、その詳細については明らかになっていない。この点を検討するために、扁桃体に変性を生じた内側側頭てんかん患者と健常者を対象に実験を行い、恐怖表情に関連する脳活動を事象関連電位を用いて評価した。結果、扁桃体を損傷した患者は刺激定時後、100-150ミリ秒の範囲と500-600ミリ秒の範囲で扁桃体の活動の低下が見られていた。また扁桃体の損傷の程度と活動の低下には関連性が認められた。しかしながら扁桃体損傷患者も恐怖表情を判別することができ、それに対応する神経活動も150-250ミリ秒の間に認められた。これらのことから恐怖反応に関係する扁桃体の活動は異なる2つの時間枠で行われることが考えられた。またこれらの結果から扁桃体の損傷によってすべての恐怖反応が障害されるわけではないが、しかし初期の100-150ミリ秒のh反応は恐怖反応にとって重要であることが考えられた。また恐怖反応の処理には異なる複数の経路があるという従来の見解と一致する結果となった。」

参考URL:Amygdala damage affects event-related potentials for fearful faces at specific time windows

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