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視床枕:脳の中の仲人

いまはどうだか分かりませんが、少し前までは世話好きなおばちゃんが仲人役になることも多かったと思います。

世話好きなおばちゃんでもないのですが世の中には人と人の間を取り持つのが好きな人、間に入るのが好きな人がいます。

これは構造的に考えるとどのような関係になっているのでしょうか。

お見合いの間を取り持つ関係を考えると以下の様な構造が考えられるのではないかと思います。

ヒデオ―――サチコ
|      |
-オバサン-

別にヒデオとサチコが付き合うだけなら、オバサンなんていなくてもよい。

ただお見合いのような微妙なシチュエーションでは、ともすればヒデオとサチコの関係は一回あっただけで終わってしまうこともあるかもしれない。

こんなときにオバサンが「サチコさん、ヒデオさんがあなたのこと気に入ってるみたいよ」だとか

あるいは「ヒデオさん、サチコさん、今付き合いの長い彼とわかれたばかりだから気持ちを察してあげて」だとか、

あるいはお見合い前にヒデオの飛び出た鼻毛を指摘して、第一印象が最悪にならないようにヒデオをおさめるだとか、

いろんな妄想は可能なのですが、そんなふうにオバサンが二人の間に入る。

そのことで、ともすればすぐに消えてしまうかもしれないヒデオとサチコの関係がうまくということもあるかもしれません。

今日取り上げるのは視床枕と皮質の関係について詳細にまとめたものです。

視床枕というのは脳の神経中継センターである視床の一部なのですが、これが構造上オバサンのような役割を果たしているのではないかということが述べられています。

つまり一次視覚野→二次視覚野(V1→V2)という連絡構造が脳の中にあるのですが、これをコピーするかのように

一次視覚野 二次視覚野
 ↓      ↑
  →視床枕→→

という経路を作って、間に入っている。

ここで何をやっているのかというと、一次視覚野と二次視覚野の連絡がうまくいくように、持続するように調整するような役割を果たしているのではないかということが述べられています。

【要旨】
「視床枕は視床関連神経核として知られている。なぜならこの神経核の入力と出力先はほとんどが皮質領域であるためである。しかしながらこの視床枕を中心とする神経回路の解剖学的構造についてはいまだ多くのことが明らかないされていない。その理由として視床枕の神経連絡構造が従来の視床枕の解剖学的区分と一致しないことがあげられる。本稿では視床枕-皮質間連結の機能-構造関係について完結かつ総合的に論説を行う。視床枕と皮質の間の連絡は組織分布的に構成されており、いわば視床枕は皮質の「地図」を構成するものの、その関係は錯綜しており明瞭なものではない。この視床枕-皮質間の連絡構造の特徴は皮質の連結構造を真似ることである。つまり皮質-皮質関係を、皮質-視床枕-皮質の関係で構成しているところに特徴がある。視床枕のこのような働きは、単に皮質間連絡の機能を真似るのではなく、むしろ皮質間連絡を強化・維持して調整することであると考えられる。」

参考URL:The functional logic of cortico-pulvinar connections.



コメント

合理化、合理化で会社の中の連絡を一本化しよう、オバサン的なポジションなんてなくしてしまおう、というのが現代の流れだと思うのですが

ニンゲンなんて本質的に不合理な生き物なので、あんまりゴウリカ、ゴウリカだと生きること自体がきつくなるのかなと考えたり

瓶から水が出にくいのは出口の狭いボトルネックがあるからで、この部分を広くすれば、サーッと水が出て効率化が図れるというのが米国流の考え方ならば

だまって水を流せばいいのに、わざわざししおどしみたいなものを作って、ジョボジョボ、カコンとした音を楽しむような文化もあって

ヒトの性質を考えると、そこそこに不合理なシステムのほうが、生きやすいのかなと思ったりします。

 

 

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