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エコーニューロン?聴覚性のミラーニューロンとは

テレビ広告というのは効果音にあふれています。

お茶漬けの「ズズズズズッ」という音、

ビールの「シュポッ」という音、

日本酒を「トクトクトク・・」と注ぐ音、

こういった効果音を聞くと、ついついその場を想像してしまって購買意欲が湧いてしまうのはどういうわけでしょうか。

ヒトの脳というのはさまざまなシステムによって動いているようですが、その一つにミラーシステムというのがあります。

これはある動作を行っている時も、その動作を見ている時も同様の反応をするようなシステムです。

つまり自分がボールを蹴るようなときも、他人がボールを蹴るのを見ているようなときも同じようにして活動するシステムで、これがあるからヒトは模倣ができるのではないかということが言われています。

今日取り上げる論文は聴覚性のミラーシステムについて調べたものです。

サルを対象にした実験では、ピーナッツを割るときも、ピーナッツを割るのを見ている時も、さらにはピーナッツを割る音を聞いただけでも、同じような活動パターンを示すシステムがあり、こういったことから聴覚性のミラーシステム、つまり動作音から動作そのものを惹起するような仕組みがあるのではないかということが言われていたのですが、これがヒトにもあることを示したものです。

こういった聴覚→運動惹起性のシステムがあるからテレビ広告で効果音というのは効果的なのかなと思いました。

 

【要約】
もし私達が聴覚しか使えないとしたらどのようにして他者の動きを理解するのだろうか。聴覚性ミラーニューロンは、サルがある動きをしている時にも、またその動きによって引き起こされる音を聞いている時にも共に活動する性質を持っている。このシステムは聴覚による動作の理解や言語の発達に重要であると考えられている。またこれと同様のシステムがヒトにもあることは様々な研究によって示唆されている。今回機能的MRIを使用してある動作を行っている時とその動作によって引き起こされる音を聞いている時の脳活動について調査した。結果左の側頭―頭頂―運動前野回路がいずれの条件でも賦活された。左の運動前野では体性感覚性の活動の違いが認められた。すなわち背側領域は手を介した運動によって引き起こされる音に反応し、腹側領域では口を介した運動によって引き起こされる音に反応していた。このシステムの多くは多重感覚性である動作を見た時にも同様の賦活を示した。さらに共感性の高い人間はこのミラーシステムが賦活される程度が高く、共感とミラーシステムの間に関連があることが示唆された。

参考URL:Empathy and the somatotopic auditory mirror system in humans.

コメント

ちなみに左半球の言語処理の領域とかぶっていることから、こういった効果音というのは言語的な処理と何かしら関係があるようです。

患者さんに歩行練習をするようなときでも、この効果音というのは運動を惹起する上でうまく使えないかなと思いました。

 

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