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子ザルと子供はどの程度同じなのか?

ヒトとサルというのはどれくらい違った生き物なのでしょうか。

今、自分の子供は10ヶ月くらいなのですが、行動だけ見ていればおさるさんの子どもと大きく変わらないのかなあと思うことがあります。

遊ぶ、じゃれるというのはおさるさんでもやりそうだし、おさるさんでも哺乳瓶を探すことくらいは出来そうだし、モノを持っては叩いてパンパン音を鳴らすということも、やはりおさるさんでも出来そうな気もします。

当然ヒトの子供のほうが伸びしろがはるかに大きいと思うのですが、一歳未満の状態だけ見てると、大きくは変わらないような気もします。

一体、サルとヒトとを分かつものとは何なんでしょうか?

今日取り上げる論文は類人猿(チンパンジーとオランウータン)とヒト(2.5才児)の知能を比較検証したものです。

実験では一般知能(いわゆるIQ的なもの:空間処理、量の理解、因果性の理解)と社会的知能(社会的学習、コミュニケーション、心の理論)を比べたのですが、

一般知能、すなわち心が絡まない物理的世界の理解に関しては子どもと類人猿は大きく変わらないのに対し、

心の世界の理解に関してはこどもが類人猿に大きく水を開けてリードしていることが示されています。

この画像がわかりやすいです。

上図参考URL:http://www.sciencemag.org/content/317/5843/1360/F1.large.jpg

ただ一般知能の中でも因果性(木が揺れたので葉っぱが落ちたというような事の理解、何かが起こって、それゆえ何かが起きるということの理解:目に見えない関係性を理解する能力)はこどものほうが類人猿よりいくらかよく、これが目に見えない関係性の理解、心の理解に関係しているのではないかということが述べられています。



「ヒトは、近縁の霊長類には見られない数多くの認知的なスキルを持ち合わせている。文化的知性仮説とはある文化的グループに関わるために必要な社会的な認知スキルが個体発生的に獲得されるというものである。今回、ヒト(2.5歳児)とチンパンジー、オランウータンを対象に大規模な実験を行いこの仮説について検証を行った。結果から我々の仮説である文化的知性仮説が支持され、またヒトは一般知能においても有意であるという点は否定された。物理的な対象を理解、操作する点ではヒトとチンパンジーは大きく変わらないこと、また社会生活に関する知能においては児童はより洗練された認知スキルを有していることが示された。」

参考URL:Humans have evolved specialized skills of social cognition: the cultural intelligence hypothesis.

 

 

 

 

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