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島皮質、不安感、感受性の関係とは?

不安感の強い人や弱い人、いろんな人がいると思うのですが、脳活動を見ると、どこがどのように違っているのでしょうか。

今日取り上げる論文は、様々な不安関連障害に共通する神経活動について調べたものです。この研究では社会不安障害やPTSD、特定の対象に対する恐怖症(ヘビ恐怖症や先端恐怖症など)を対象に行なった神経画像研究についてメタアナリシスを行ったものです。

結論から言うと、不安障害全般に関連して島皮質と扁桃体が増大している、またPTSDでは情動の調整に関わる前頭葉領域の活動低下が見られることが述べられています。

島皮質というのは、側頭葉の奥の方に隠れるようにして存在する領域なのですが、脳の中の視覚や聴覚、嗅覚、内臓感覚、いろいろな情報が収束してくる場所だそうです。

島皮質は体中のいろんな情報を取りまとめて、そこからさらに様々な情動関連領域、扁桃体だったり前頭眼窩野だったりに情報を配り直すポジションにあるそうです。

ゴッホに限らず絵描きさんというのは時に精神のバランスを崩しやすいという話を聞きますが、島皮質のことを考えると感受性と不安感というのは同じ神経基盤によるものなのかなと思いました。

【要旨】

「目的:ヒトの不安障害を対象にした研究は数多くなされてきており、機能的画像研究から多くの知見が得られている。しかしながら個々の研究による知見の違いも大きい。本稿は複数の不安障害を対象に、その共通点と相違点について考察を行う。また健常人を対象にした予期不安についての神経基盤についても検討を行う。方法:PTSD、社会不安障害、特定の恐怖症ならびに健常者の予期不安を対象にした機能的神経画像研究を対象に定量的メタアナリシスを行った。結果:三種の不安症患者に共通して扁桃体と島皮質に有意な活動の増大を認めた。またこの島皮質と扁桃体の活動増加はPTSDに比べて社会不安障害と特定の恐怖症において顕著であった。これと対照的にPTSDでは情動の調整に関わる前帯状皮質の背側および尾側領域と内背側前頭前野の活動低下が見られた。結論:このメタアナリシスによって個別の研究の結果を統合し、不安障害に関わる神経基盤についての知見を得ることが出きた。PTSDに関しては単に不安に係る領域の活動が増大するというだけではなく、情動の調整に関わる機能の問題であることが考えられた。

参考URL:Functional neuroimaging of anxiety: a meta-analysis of emotional processing in PTSD, social anxiety disorder, and specific phobia.

コメント

ものを「感じる」というのはどういことなんだろうか。

よく絵描きさんは情緒不安定になりやすいという。私は絵描きではないけど、それでも心のバランスが崩れそうな時というのは、なんだか視界がえらく色鮮やかに特殊効果でもかけたみたいにヴィヴィッドになる。

いつも通っている同じ道路をを見ても、いつもとは違う意識経験が立ち現れるわけでこれはどういうわけだろう。

先日、意識についての研究を聞きに行ったのだけれども

内容は難しくてよく分からなかったが、意識経験というのは神経活動の「全体」ー「部分の総和」で残った部分ではないかというお話なのかと思う。

一般的に考えても全体というのは部分の総和ではない。凡人でも三人集まれば文殊なみの知恵を出すことができる。

サッカーでも、政治でも、経済でも、個々のプレーヤーが集まることで、単に個人のプレーを足した以上の何かが起こる。その差が意識ではないかと。

個々のプレーヤーのつながりのある場所、コネクションがある場所では、常に「全体」は「部分の総和」以上になる。オーケストラもそうだし、お料理もそうだ。人参とじゃがいもと肉と醤油の合算=肉じゃがではない。肉じゃがは素材の総和以上の何かである。

それを脳と意識で考えると、個別のプレーヤー(触覚、視覚、内臓感覚・・)の活動の合算と、個別のプレーヤーが共演することから生じる活動の差、(全体)ー(部分)の差が意識経験とかクオリアとか言われるものかと思ったり

同じ景色を見ても、情緒不安定なときには色鮮やかな意識経験がなされるのは、ネットワークのハブになる島皮質の活動が高まって、「全体の活動(コネクション)」と「部分の活動(コネクション)の総和」の差が大きくなる、これが感受性が強い状態ということかなあなどと思いました。

読んでもらってよくわからないのは、書いている本人がいまいちすっきり理解できていないせいです。ごめんなさい(-_-;)

意識ってブラックボックスの最たるものなんだろうなと思います。

 

 

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