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目標物がある模倣とブローカ野の関係とは?

今日取り上げる論文も模倣に関してのものです。

同じ模倣でも、「壁に手を伸ばして」という模倣と「手を伸ばして」というような模倣、つまり目標物、対象物があるような模倣と、ただ動作を真似するだけの対象物のない模倣で脳の活動が違うのかどうかを調べたものです。

模倣に関わる領域としてミラーシステムの一部を構成する下前頭回の弁蓋部がよくあげられるのですが

目標物があって模倣させる条件のほうがこの領域の活動が高くなることが述べられています。

【要旨】



「目的となる動作によって模倣行為と運動システムが大きく影響されることが報告されている。本研究では機能的MRIを使用して明示的なゴールが示されている時とゴールが示されていない時でどのように脳の活動が異なるのかについて調べた。実験では左右に並べた人差し指のいずれかを前に出す動作を模倣する課題を行わせたが、一つは赤色の点を人差し指の前に提示して模倣させ、対照実験では何も提示させずに模倣させた。結果下前回の弁蓋部の活動は、赤色の点でゴールが明示された条件で高くなった。また両側の背側運動前野の活動はゴールが明示された条件と、対側の指を動かして模倣する課題(解剖学的模倣)で高くなる傾向があり、ゴールが明示され、かつ解剖学的模倣を行うときに最も活動が高くなっていた。このような結果から運動の準備と実行に係る領域が目標志向的な動作を行う上で調整されて働くことが考えられた。またこれらの結果はサルを対象にした実験で目標志向的な動作を行うときにF5領域の神経細胞が働くという結果と一致したものとなった。」

参考URL:Modulation of motor and premotor activity during imitation of target-directed actions.

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