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「注意の瞬き」とはなにか?

心理学で「注意の瞬き」という現象があるそうです。

これはスロットの目のようにパラパラパラパラと高速で視覚刺激を提示していって、ある特定の刺激(アルファベットがパラパラ混じった中で数字だけ、あるいは植物の絵がパラパラ提示される中で動物の絵だけ)だけを2つ見つけてという課題を行った場合、一つ目と二つ目の間が近いと二つ目が認知されないという現象だそうです。

もう少し具体的に言うと一つ目の特定刺激と二つ目の特定刺激の間が0.5秒以下になると途端に二つ目が認知されなくなる、そんな現象だそうです。

なぜこんなことが起こるかいろんなモデルが提示されているのですが、一つは一つ目の視覚刺激を処理するのに注意容量がいっぱいになってしまって、二つ目が頭に入ってこないというものです。

車を運転しながら携帯電話を操作すると、時として大事故になってしまうのも、同時に2つの刺激を処理しきれないこの「注意の瞬き」によるものなのではないかと思います。

こんなふうに注意の容量の問題も絡みそうな「注意の瞬き」ですが、これにも例外があるようです。

どういうものかというと、提示される視覚刺激がとりわけ注意を引くようなものであれば、意外とこの注意の瞬きは起こりにくくなる。

注意を引くといっても色んな物があると思います。

例えば黒尽くめの男の中に赤いドレスの女の人がひとりいたら注意を引くでしょう。

あるいはそんなに地味なデザインの哺乳瓶であってもお腹の空いた赤ちゃんであれば即座に見つけるでしょう。

あるいは自分の子供を探しているお母さんは子供だらけの中でも自分の子供を即座に見るけるでしょう。

そう考えると注意を引くのは色や形が突出していて目にとまるタイプと、自分の情動が喚起されて目にとまるタイプの2つがあるのではないかと思います。

今日取り上げる論文は「注意の瞬き」が弱くなるような刺激というのはただ目立つような刺激ではなく、自分の情動が強く動かされるような刺激、覚醒度を上げる刺激であることを説明したものです。

【要旨】

「連続して提示される視覚刺激の中で第一標的を検出して報告することによって、第二表的に意識を向けることが疎外されることがある。このような現象を注意の瞬きと呼ばれるが、このような現象は視覚刺激が情動的な言葉でであった場合減弱されることが知られている。情動的な要素が知覚形成を容易にし、注意機構に影響を与えるものと考える。」

参考URL:Affective influences on the attentional dynamics supporting awareness.



コメント

自分の情動が強く動かされるような刺激、覚醒度を上げるような刺激が「注意の瞬き」効果を減弱させるのは、例によって扁桃体回路で脳の中の記憶領域に強く、速く刺激が入りやすいからではないかということが述べられています。

人の目にとめてもらいたかったら、ただ目立つだけでなく相手の情動に取りいって扁桃体にタグ付けされることも大事なのかなと思います(-_-;)

腹黒く生きようヽ(=´▽`=)ノ

 

 

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