フォローする
【脳科学専門ネット図書館】会員募集〜ワンコインで世界中の脳科学文献を日本語要約〜

脳のもやもやパターンとアトラクター

脳というのは何もしていない時でも、もやもやと活動していて、そのもやもや加減は一定のパターンを示すそうです。

今日取り上げる論文はこの脳のもやもやパターンと実際の解剖学的な神経構造がどのように関係しているのかについて調べたものです。

要約の後ろの方に出てくるアトラクターというのは、散逸構造のことです。

散逸構造というのはゆらぎだとか、あそびだとかそんなイメージです。

言葉を重ねるごとによく分からなくなってきているような気がするのですが、例えばようやく歩け始めた患者さんの歩行を見ていて、ゆらゆらと揺れたり、ああ、危ないと思っても、大体想定の範囲内でゆらっと行ったり、バランスを崩しそうになるので、ある程度経験を積んだセラピストだったら、そんなガチガチに介助はしないんじゃないかと思います。

学生さんはこのゆらぎ、あそびの部分が見極められないから、ガチガチと歩行介助をしてしまう。

男の子を振り回すようなわがままな女の子の振る舞いも、遠目で見ればいくら振れ幅が大きくても、一定の範囲内でのゆらぎなので、器が大きい男の子だったら、それなりに付き合うことが出来るでしょう。

世界経済が良くなった、悪くなったといろいろ言われますが、大きく見れば一定に揺れ幅の中で行ったり来たりしている。

そんな揺れ幅の範囲のことをアトラクターというのだと思います。

3次元上にプロットされたこのグラフが直感的にわかりやすいと思います。

アトラクターイメージ

どんなに危うい歩行でも、ややこしい女の子でも、だいたいこの軌道上におさまる、そんな何かがアトラクターなのだと思います。

ただ歩行で行けば、押したり引っ張ったりつついたり、外からの力でバランスを崩しても、大体の範囲であればこのアトラクターの中におさまると思うのですが、あまりに強い外力で突き飛ばしたりすると、この突き飛ばされた人はアトラクターの外に外れて転んでしまうかも知れません。

あるいはおっとっととステップを踏んで、そこから走行動作という別のアトラクターに移動するかも知れません。

人のやることなすこと、行動パターンもある程度一定の揺れ幅、アトラクターに収まっているのだと思いますが、大きい病気をしたり、目も当てられない様なひどい目にあった後は、人が変わるというか、こういうのは別の揺れ幅、別のアトラクターに移動するかも知れません。

アトラクターってそんなものではないかというふうに理解しています。

難しくて理解しきれないですが、歩行とアトラクターの関係で行けば、この本が面白かったです。

『脳と身体の動的デザイン』

一日一つだけですが、非営利目的の個人団体を対象に無償で脳科学関係の質問に調べて答えるサービスを始めました。

答えられるかどうかはテーマにもよりますが、興味のある方は[お問い合わせ]からどうぞ。

PT/OT/STの転職紹介なら【マイナビコメディカル】



「脳は何も外部から刺激がないときでも自発的な活動を行っている。この脳の活動パターンは脳が持っている解剖学的な構造を反映しているものと考えられる。今回、この自発的な活動パターンと解剖学的な構造がどのような関係があるのかについて研究を行った。自発的な活動パターンにはいろいろなものが見られたが、主要なものについてはその解剖学的構造から説明できることが分かった。またこの主要なパターンと動的なネットワークにおけるアトラクターの関係が等価であることが示された。」

 

 

参考URL:
On How Network Architecture Determines the Dominant Patterns of Spontaneous Neural Activity

 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします