エロティック画像と視覚処理の関係とは?
色仕掛けというものが世の中にはあるようです。
色仕掛けまで行かなくても、胸元のあいた服を見ると、そんな気がなくてもついつい視線がそっちに向いてしまう。そんなことはよくあることなのではないかと思います。
今まで紹介してきたように、情動的な情報というのは注意を喚起するようです。
たしかに蜘蛛や蛇、怖い上司や死体の写真などというのは扁桃体も絡んで大きく注意を喚起する。
しかし人の気を引くのは危険情報だけでもなく、エロティック(日本語で書くと恥ずかしいですね)な情報というのも、危険情報と同じくらい注意を喚起するようです。
今日取り上げる研究は、情動的な画像(危険画像とエロティック画像)がどれだけ注意をそらすかについて調べたものです。
具体的にはエロティックな画像を背景にテトリスのような図形処理課題を行わせた時にどんな変化が現れるかについて調べたものです。
結果としては刺激提示後0.5秒から1.0秒の間に注意機能の低下を示す脳波の変化が見られるけれども、そのあとは情動的な画像による効果はさほどみられなかったことが示されています。
1秒以上後に情動的な画像の効果が現れなくなったのは、トップダウン処理とボトムアップ処理が相互作用によって調整された結果ではないかということが述べられています。
【要旨】
「インパクトの強い情動的な画像は視覚野の初期活動を強化する。それゆえ情動的な画像というのは競合的な視覚処理過程の中で強度の高い刺激として振る舞う。今回の研究では、情動的な画像を背景にして、その前面で注意課題を行わせ、その時の脳活動について脳波測定を行い調べた。脳波測定は注意機能を反映する定常状態視覚関連電位を測定した。結果、情動的な刺激の提示によって刺激提示から数百㍉秒の間は注意課題の成績も低下し、それに対応して定常状態視覚関連電位も減弱することが認められた。」
コメント
フロイトのエロスとタナトスでもないのですが、エロスと死に関係する情報というのは、やはり人の気をひくようです。
人間というのも動物なので、生きるか(子孫を残すか)死ぬかという情報には敏感なんだろうか
強い影響力を持つヒトというのは、少なからず色気があるような気がして
これはヒトの生への欲動を喚起するためなんだろうかと考えたり
あるいは強い影響力を持つヒトというのはどことなくおっかない、いわば暴力性が見え隠れして
これはヒトの死への欲動と関係があるのかなどと考えたり
もし強い影響力を持ちたかったら、暴力性と色気をサブリミナル程度に持ち合わせるというのがいいのかな、などと考えました。
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