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情動的な音声は脳の中でどう処理されるのか?

普段生活していても、その声色から相手が何を感じているのか、考えているのか判断することが多いのではないかと思います。

つまりただの言葉として音声を認識しているのではなく、その音声に含まれる感情というものを認知しながら、人の声を聞いているのではないかと思います。

今日取り上げる論文は、この情動的な音声の処理が脳の中でどのように処理されているかについて調べたものです。

恥ずかしいことに音の処理が脳のどのへんで行われているか分からなかったのですが

内側膝状体→一次聴覚野(ブロードマン41/42野)で処理されるそうです。

この図がわかりやすいです。

一次聴覚野:

経路図:

この一次聴覚野の後外側に情動的な音声に特異的に反応する領域があるそうです。

この領域が解剖学的なつながりを調べてみると一つは下前頭回、もう一つは下頭頂葉とつながっているそうです。

このふたつの内、情動的な音声を聞いた時には下前頭回は活動するけれど、下頭頂葉は活動しない。

このことから情動的な音声処理は下前頭回を含む回路によってなされ、音声の空間認知的処理は下頭頂葉を含む回路によってなされるのではないかということが述べられています。

模式図で示すと

            下頭頂葉
             ↓↑ (空間情報処理) 
内側膝状体→上側頭回「情動音声領域」
             ↓↑
           ←←↓↑
      下前頭葉 →→↑↓ 情動情報処理)

ということなのかなと思います。

【要旨】

「今回機能的MRIとDTI(テンソル拡散画像)を用いて、音声とその情動情報の感受に関わる領域の場所と機能について調べた。結果、両側の上側頭回にある一次聴覚野の後外側領域が情動的な音声に反応することが確認された。この領域は、無感情な音声と較べて、怒りや哀しみ、喜びや安心感を表現した音声に強く反応することが示された。またこの領域は情動的な覚醒状態によって賦活され、音声の言語的内容とは無関係であった。この上側頭回にある「情動音声領域」は同側の内側膝状体および同側の下前頭回、同側の下頭頂葉と連絡していることがDTIによって示された。さらに情動的な音声によって「情動音声領域」は下前頭回との機能的な連絡が強化されるが、下頭頂葉との間には有意な変化は見られなかった。これらのことから下前頭回が「情動音声領域」とともに情動的な音声の処理に働くこと、また下頭頂葉は音声の空間情報の処理に働くことが考えられた。」

参考URL:Emotional voice areas: anatomic location, functional properties, and structural connections revealed by combined fMRI/DTI.




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コメント

下頭頂葉とか下前頭回とか、なんだかミラーニューロンでよくきいたつながりで興味深かったです。

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