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知っている脳波、覚えている脳波

どこまで本当かは分かりませんが帝国ホテルのドアマンさんというのは1000人以上の顧客の顔と名前、運転手の顔から車のナンバーまで記憶しているそうです。

なんとなく見覚えがあるという感じだったらそれなりにできそうな気もしますが、しっかりと明確に頭に入っているというのはやはりプロの仕事と思うのですが、こういった「見覚え感」と「しっかり記憶」では脳の働きはどのような違いがあるのでしょうか。

今日取り上げる論文はこの記憶の違いについて脳波測定を行って調べたものです。

結果を述べるとこの二種類の記憶に相当する二種の脳波(事象関連電位)が見られること、

明確な記憶には海馬が関係し、見覚え感程度の記憶には海馬周囲の様々な領域が関係しているのではないかということが述べられています。

「知っている」と「覚えている」というのは脳の働きで考えると別のものなんだなあと思いました。

 

ポイント

記憶の認識に際しては二つの情報処理があることが知られている。一つは見覚え感であり、もう一つは明確な想起である。

第一実験では先行研究にならい、注意の程度が見覚え感と明確な想起にどのような影響を与えるかについて調査を行った。

また第一実験と第二実験では見覚え感に関わる事象関連電位(300-500㍉秒後に先行的に現れるFN400 old/new effects)と明確な想起に関わる事象関連電位(400-800㍉秒後に後続して現れるparietal old/new effects)の違いについて調査を行った。

結果明確な想起に関わる事象関連電位については注意を分割させた条件で低下したものの、見覚え感に関わる事象関連電位では注意を分割させた条件でも変化が見られなかった。

これらの結果から刺激提示から400-800㍉秒後に頭頂部に後続的に現れる事象関連電位は明確に記憶の想起に関連していることが考えられた。

参考URL:
Effects of attention and confidence on the hypothesized ERP correlates of recollection and familiarity.

 

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