右下頭頂小葉とミラーニューロン
今日取り上げる論文はヒトのミラーニューロンについて調べたものです。
ミラーニューロンというのは何かをしているときも、またそれと同じ動作を他人がしているのを見ている時もひとしく活動するような、そんな神経細胞なのですが、これが実際にヒトにあるのかどうかというのはながらく分かっていなかったようです。
この研究では異なる時間設定で様々な動作をさせたりみせたりして、そこで生じる神経活動の違いから右下頭頂葉に動作と観察を共にコードする神経細胞があることを明らかにしたものです。
下頭頂葉というのは角回や縁上回といわれるところから構成されていて、視覚や聴覚、体性感覚の情報が最終的に流れ込んでいるところになるようです。
この下頭頂小葉でまとめられた情報が前頭前野の下の方にある弁蓋部(44野)に送られるそうです。
角回や縁上回がいわゆるウェルニッケ野と呼ばれる領域とかぶり、弁蓋部(44野)がいわゆるブローカ野と呼ばれる領域の一部を構成していて、つまりこの動作の実行と観察を共にコードするシステムというのは
下頭頂葉(角回、縁上回)→弁蓋部(44野)
で、これはすなわち
ウェルニッケ野→ブローカ野
【要旨】
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「マカクザルで発見されたミラーニューロンには二つの性質がある。すなわち自分がある行為を行っているとき活動する性質と、さらには他者がその行為を行っているときに活動する性質である。ヒトにおいては動作実行と動作観察は頭頂葉と前頭葉、側頭葉からなるネットワークでリンクされているとされるが、実際に動作実行と動作観察の両方をコードしている神経細胞があるのかについては明らかにされていない。本研究では機能的MRI順応法によって右下頭頂葉が動作実行と動作観察の両方をコードしていることを明らかにする。この右下頭頂葉は、何度も行った動作を見ている時は、しばらくおこなっていない動作を見ている時と較べて、活動が減衰する傾向にあった。このことから右下頭頂葉は動作の観察と実行の両方をコードする神経細胞であることが考えられた。」
参考URL:fMRI adaptation reveals mirror neurons in human inferior parietal cortex.