
視覚的注意と頭頂間溝
今日取り上げる論文は視覚的注意について、その基本的な成り立ちがどのようになっているのかについて調べたものです。
従来の脳の活動を可視化するために、機能的MRIが使われてきたのですが、これは脳のどこが活動しているのかをよく見ることが出来るのですが(空間分解能はよい)、どこがどのタイミングで活動しているという点では、細かいところまで見られないものだそうです(時間分解能に劣る)。
ヒトの認知活動というのは、流れるように変化していくところが大事なのであって、そうすると時間的な変化を細かく見られない機能的MRIでは限界があり、
そこを時間分解能に優れる脳磁図(MEG :Magnetoencephalography)を加えて、注意に関わる色々なことを研究した結果を示したのが今日の論文です。やはり頭頂間溝のあたりが注意システムのキモになっているようです。
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【要旨】
「神経画像技術の発達によって、注意に関係する脳領域を調べられるだけではなく、注意というものがそもそもどのようになされているのか、その理論的枠組を検証することが出来るようになった。本稿では、視覚的注意に関係する古典的な4つの疑問について考察する。その4つの問とは (i)注意システムに先天的に組み込まれている特殊な刺激(例:顔)は存在するのか (ii)注意の操作に関わる情報素子はどのようなものか (iii)刺激の情報処理において注意はどの程度素早く処理に関わるのか (iv)注意の種類(空間的注意または非空間的注意)に関わらず、共通して活動する脳領域はあるのか、というものである。今回我々は機能的MRIと脳磁図を使用して上記の問題に対しての研究を行った。結果、注意によって顔の認識が調整される、物品に対する注意と空間に対する注意は独立したものである、顔の認識は170ミリ秒で調整される、頭頂間溝は空間的注意と非空間注意の2つの注意に共通して関係している、という4点が明らかにされた。」
参考URL:Testing cognitive models of visual attention with fMRI and MEG.
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