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扁桃体と注意の関係とは?

今日取り上げる論文は、扁桃体と注意の関係についてまとめたものです。

扁桃体が脳の多くの領域から情報を取りまとめ、それをフィードバックすることで、注意システムに影響を与えていることが述べられています。

これをリハビリの現場に置き換えると、注意に関わる様々な機能に対してアプローチするときに、リハビリ室の無味乾燥な練習よりは、患者の情動をより喚起するような、そんなシチュエーションでの関わりがいいのかなあなどと考えました。
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【要旨】

「情動は感覚情報が含む意味の読み取りをするだけではなく、適応的な反応や知覚の調整にも関わっている。近年ヒトを対象にした神経画像研究により、感覚処理と注意が感覚情報によってどのように調整されているかについて明らかにされつつある。これらの研究から扁桃体が注意機構において重要な役割を果たしていること、またこの扁桃体が主に脅威に関わる事象に関して、間接的あるいは直接的にトップダウン的に感覚処理に関わっていることが明らかになっている。扁桃体に見られるこのような「情動的注意」は他のトップダウン的な知覚調整に関わる経路を補完して働いていると考えられる。これらの研究は認知や情動が注意や行動にどのような影響をおよぼすか、あるいはその神経機構がどのようなものかについて、一助となりうるものと考える。」

参考URL:How brains beware: neural mechanisms of emotional attention.

脳卒中の回復期の病棟だと、この患者さん、トイレ自立にするかどうか、まだ早いか、見守りからやるか、などと議論に上がることがあると思うのですが、

「完ぺきにできるまでリハでやって、それから病棟に引き渡します、変な癖がついても困るし」

と考えるよりは
多少下手で危なっかしくても、できそうなら、さっさと病棟に引き渡して、実地で覚えてもらったほうが、治りも早いような気がします。加えて変な癖がつくこともそうそうないと思います。経験的にですが。

これは実際のモチベーション、トイレに行きたいという強い情動的要素が注意システムをうまく回して
そういった状況で動作を学習することで、より効率的に学習できるからかなとも思います。

リハで反復してやる「正しいやりかた」というのは往々にして般化されづらく
れはそもそもヒトの活動というものが、小脳かどっかでレコードされた紋切り型の活動でなく
基本的にオンラインの情報処理を適切に行なっていく事が、活動の根幹であって

そう考えれば、やはり定型的なパターン練習というのは、否定はしないけれどどうかなとも思うのです。
人を対象とする以上、人間らしいリハを行えればなあと思います。

しかし正論を吐いた後の居心地の悪さって、どっからくるんでしょうね。なんだか腹のウラ側がこそばゆいような、へんな感じがします(´・ω・`)

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