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神経伝達物質と注意、情動の関係とは?

人間誰しも調子の善し悪しはあると思うのですが、ことに気分というのは人の認知処理過程に大きな影響をあたえるようです。

例えばお化け屋敷を想像してみましょう。

これがBGMがヒュ~ドロドロドロなんていうおどろおどろしいものがなっていて、気分が怖いモードに入っていたら、お化けや物音に対してすごい敏感になると思います。

でもお化け屋敷のBGMがディズニーパレードでなんだがウキウキしてしまったら同じように感じられるでしょうか。

場合によってはお化けが視界の隅に出てきたとしても気がつかないこともあるかもしれない。

こういったように気分というのは認知の仕方に大分影響をあたえるのではないかと思います。

昨日も述べたように、脳の中では神経伝達物質というのが大事らしいです。

電気の流れだけでは脳は働かない。

神経細胞同士が繋がって、脳の中で情報が駆け巡るのですが、繋がるといっても細胞と細胞の間の隙間がある。

この隙間をどうやって電気は飛び越すのでしょうか。

実際のところ、電気はなにもないところを伝わることは出来ない。

ではどうするのでしょうか。

下の図がイメージがつきやすいと思います。

上記の図のように神経伝達物質がこの隙間をつないでいる。

この神経伝達物質(上図の丸)がいっぱいあれば、情報伝達も容易になりそうだし、これが少なければ情報伝達も難しくなりそうです。

神経伝達物質は数多くあるのですが、なかでもアセチルコリンというのは脳の注意機能に絡んでよく働くようです。

ではこれは具体的にどう働くのでしょうか。

先行研究からアセチルコリンがいっぱいあると、情動的な情報に敏感になるということが知られていたようです。

日常生活で言えば、アセチルコリンが脳の中にいっぱいあると、だれが機嫌が悪そうか良さそうかというのに敏感になる。そんな効果があるようです。

またアセチルコリンがいっぱいあると、反対に情動的ではない情報、たとえば統計表だとか建築物だとか、そんなものには疎くなる、そんな傾向があるようです。

なんでこんなことが起こるかというと、脳の中でアセチルコリンが選挙の裏金のような役割を果たすからではないかと言われています。

選挙のたとえは唐突なような気がしますが、基本的に知覚というのは選挙とよく似ています。

視界に入る数百の情報の内、意識に上って知覚されるのはほんの僅かです。

無数の情報は脳というリングの上でバトルロワイヤルのように戦いあい、勝ち残ったものだけが選ばれる。そして知覚される。そんな仕組みになっているようです。まさに脳内選挙といってよいのではないかと思います。

例えば選挙でA候補者とB候補者がいて、実力が一緒だったら選挙で勝つのはどっちでしょうか。おそらく選挙資金を潤沢に受けている方ではないかと思います。

ここでいう選挙資金とは神経伝達物質です。

情動的な情報(職員の顔色)と非情動的な情報(統計表)が頭のなかで争いあったらどうなるでしょう。

おそらく選挙資金、つまり神経伝達物質を多く持っている方が勝ち残るのではないかと思います。

アセチルコリンというのは情動的な情報を処理する領域に肩入れして、選挙資金を潤沢にすることで、情動的な情報が勝ち残って知覚されやすいように働くようです。

【要旨】

「アセチルコリンは新皮質における選択的注意と情動処理過程の両方に影響を与えると言われている。健常者を対象にした本研究では健常者を対象に注意過程と情動処理過程を分離して実験を行い、アセチルコリンがこれらの処理過程に与える影響について機能的MRIを使用して調べた。結果、アセチルコリンを増強する薬剤を摂取した群は紡錘状回前部の活動が高まり、情動的な情報(顔情報)への注意が高まっていた。しかし同時にこの薬剤の摂取で後外側視覚野の活動が低下し、非情動的情報(建築物情報)への注意が低くなっていた。またアセチルコリンの増大によって紡錘状回中部の活動が高まり、注意するかどうかにはかかわらず恐怖表情への反応が高まっていた。またアセチルコリンの増大によって前頭眼窩野と頭頂間溝、帯状皮質の活動が高まったが、これは注意をしている時に限られていた。これらのことからアセチルコリンというのは選択的注意と情動処理の両方に働くが、この働きはそれぞれ独立した経路によるものであることが考えられた。さらにこのアセチルコリンは頭頂葉と前頭葉に影響を与えて、情動的な情報に注意を切り替える役割を果たしていることが考えられた。」

参考URL:Cholinergic enhancement modulates neural correlates of selective attention and emotional processing.

 




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コメント

いつものことですが、ムリムリなたとえすみませんm(_ _)m

今日の論文は難しくてひょっとしたら間違いもあるかもしれません。何か間違いあるようでしたら教えていただければ幸いですm(_ _)m

世の中にはフェティシズムというのがあって

これはある特定の対象、モノに”萌え”(古語)を感じてしまうようなことだと思うのですが

モノの収集癖なんていうのも、これは広義のフェチだと思い

世の中はきっと広くて、統計表や建築物に”萌え”を感じる、情動を喚起される人もきっといて

アップルの製品が好きというのは、多分にフェティシズムの文脈で説明できそうな気がすのだけれども、アップルの製品に強い愛着を感じる人というのは、アセチルコリンの分泌が高い時に衝動買いしてしまうのか、あるいは元気がなくて、アップルの製品を買うことでアセチルコリンを放出すべく、ついつい買ってしまうのか、そんなことを考えました。

 

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