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アセチルコリンと注意機能の関係とは?

「頭が良くなる食べ物」だとか「脳に効く食べ物」だとか、いろいろと聞きます。

ほんとうに効くかどうかは分かりませんが、脳の中を駆けまわるのは電気だけではないようです。

脳の中の情報のやり取りというのは電気の流れと物質の流れ、この二本立てになっています。

電気の流れというのは電線をイメージしてもらえばわかりやすいのですが

この下の図のように神経細胞があって、軸索があって、樹状突起があって、その中をイオンの流れとして、電気信号がビャーっと走り抜けていく。

これが電気の流れです。ここまではわかる。

でも神経細胞の端っこ、樹状突起の先まで電気が流れてきたら、その信号はどこにいくのでしょう。

神経と神経は直接つながっているわけではありません。

下の図を見てください。シナプス間隙と言って、神経細胞と神経細胞の間には、空白地帯、繋がっていない部分がある。

この空白地帯を抜けて次の神経細胞に情報を伝えるにはどうすればいいでしょうか。

普通にイメージしても電気はなにもないところを伝わることは難しそうです。

そこで登場するのが神経伝達物質です。

図を見てもらえばわかりやすいと思いますが、神経伝達物質がこの隙間、この空白をつないでいます。

このように神経細胞と神経細胞をつなぐ神経伝達物質というのが脳の中に無数にあり、これが脳の中の情報をやり取りしています。

この神経伝達物質というのはセロトニンとか、チョコレート商品で有名になったGABAだとかいろいろあるのですが、脳の場所場所で幅を利かせている物質が違うようです。

ヨーロッパにいけばユーロがものを言うし、アメリカだったらドル、東アジア圏域だったら円というふうに、場所場所で幅を利かせている通貨がある。

基軸通貨でもないのですが、神経伝達物質もそれぞれ脳の中で場所場所で幅を利かせている物質が違うようです。

注意機能というのは前頭前野の働きが大事なのですが、ここではアセチルコリンという神経伝達物質が幅を利かせているようです。

今日取り上げる論文はこのアセチルコリンと注意機能の関係についての研究を調べたものです。

【要旨】

「長い間、アセチルコリンは神経調整物質として働き、その主な役割はゆっくりと覚醒状態を調整することであると考えられてきた。しかし近年の微小電極を使った注意に関連する活動をリアルタイムで調べた研究からは、このアセチルコリンは、秒単位、数十秒単位、数分単位といった様々なタイムスパンで神経活動に影響を与えていることが報告されている。とりわけ前頭前野では数秒単位でのアセチルコリンの変動が注意機能に影響を与えていることが知られている。このような短期的な変動とは対照的に、より長い時間枠でのアセチルコリンの変動も注意機能に影響していると言われている。この長期的な変動は短期的な変動によって影響されると考えられているが、その相関関係については明らかにされていない。本稿ではこの短期的な調整機能と長期的な調整機能の関係について論じる。このコリン作動性の調整と注意機能との関係を知ることで、認知症をはじめとする神経変性疾患の認知機能の低下を、コリン作動性の見地から考えることが可能になると思われる。」

参考URL:Cholinergic mediation of attention: contributions of phasic and tonic increases in prefrontal cholinergic activity.

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コメント

政府当局の通貨介入だとか、そんな話を聞きますが、

経済のことは明るくないのでよくわからないのですが、通貨というのは足りなくても良くないし、だぶついても良くないようです。

適当な量が適度に市場に流通している時に、経済がうまく回るそうなのですが

これは脳も一緒で、神経伝達物質が多すぎても少なすぎても、統合失調症やアルツハイマーの神経症状が出てくるようで

きっと程々というのが大事なんだろうななどと考えました。

穏やかな日常に感謝したいものです。

 

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