「言語に関する機能的MRI画像:意味処理に関わる皮質構造の理解のためのアプローチ」
ヒトの脳にはいろんな機能がありますが、その中でも変わったもののひとつに「言葉を使う」というもものがあります。
しかしながらこの「言葉を使う」というのはどういうことでしょう。舌も使えば耳も使う、文字を追うのに目を使えば文章を組み立てるのにアタマも使う。いったい言語脳というのはどういう仕組みになっているのでしょうか。
今日取り上げる論文はこの言語活動に関わる脳について詳しく調べたものです。
昔の言語脳の研究は解剖によるものが主だったようです。これは例えば脳の病気で言葉を使えなくなったヒトの脳を解剖して、そこから共通するところを探して言語脳を探るというものだったようですが、ここ数十年で脳を解剖しなくても細かい活動を見ることができるような新しい技術が開発されたそうです。
この新しい技術による実験の結果、今まで言語脳と呼ばれていた領域はツルンとした一つのユニットではなく、モザイクのようにいろんな機能を持つ脳が組み合わさった作りになっていること、
さらには今まで言葉の処理は左脳が大事と言われてきたのですが、右脳にも大事な働きがあり、言葉のイメージを作ったり文脈を掴んだたりという機能があることが分かってきたということが述べられています。
ポイント
・本稿ではこの機能的MRIによる成人の脳での言語活動についての3つの意見を取り上げる。
・ひとつは左下前頭葉における意味処理的活動は他の前頭前野の言語に関わる機能とは異なるものであるということ、
・もう一つは側頭葉には物品や概念のカテゴリーに関わるはたらきがあるということ、
・更にもう一つは右半球も文脈を理解したり意味を生成したりという働きがあるということである。
|
コメント
タイトルに何も考えず適当に「言葉マシーン」と打ち込んでみたんだけど、この言葉が持つ違和感というのはいったいなぜだろう。
これはなんとなくなんだけど、言葉というのはひとつのマシーンとして理解されるようなものではなく、全身的な何かだからなような気がする。更には自分の体だけにとどまるのではなく
置かれた場や状況といった社会的な要素が大きい何かというような気もして
同じ言葉を話すにしてもそれがカフェでされるのか記者会見で話されるのか、だれが話すのか、どのタイミングで話すのかで、その言葉が何たるかというのは変わってくるだろうし
言語のありようというのは脳という臓器一つに還元できるようなものではないような気がして
ものを理解するにはきっといろんな学問が大事なんだろなと思ったりします。