ミラーニューロンシステムと運動準備領域の関係
今日取り上げる論文は、模倣学習がどのようになされているかについて調べたものです。
結論から言うと、模倣学習はミラーシステムと運動準備領域が相互作用を行う中で成立するのではないかということが述べられています。
ミラーシステムというのはある動作を見ている時も、実際に行うときも共通してコードするような神経回路なのですが、
この部分が模倣目的に観察を行っている時に強く活動して、さて今から模倣しようとしているときには、このミラーシステムの活動にかぶさるように運動準備に関わる前頭葉と頭頂葉の領域の活動が高まってくることが示されています。
またこのふたつのシステムをワーキングメモリに関わるブロードマン46野
が仲立ちをしているのではないかということも述べられています。
【要旨】
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「模倣学習がどのような神経基盤の上に成り立っているのかについては未だ明らかにされていない。本研究では事象関連機能的MRIパラダイムを使用してこの点について調査を行った。音楽の初心者を対象に(1)ギタリストがコードを演奏している場面を観察する(2)観察の後、休止する(3)観察したコードを演奏する(4)休憩 の4場面での脳活動を走査した。結果、模倣学習に関わる基本的な回路は下頭頂小葉と下前頭回後部およひ隣接する運動前野(ミラーニューロン回路)から構成されていた。このミラーニューロン回路は動作の理解に関わることで知られているが、この部位はギターコードの演奏を観察している段階からの活動していることが認められた。観察を一時休止している状態では中前頭回(ブロードマン46野)と運動準備に係る領域(背側運動前野、上頭頂小葉、内側吻側領域)の活動も増加していた。46野の性質を考慮に入れると、模倣学習はこれらの運動準備領域とミラーシステム領域の相互作用によってなされていることが考えられた。」
参考URL:Neural circuits underlying imitation learning of hand actions: an event-related fMRI study.