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ミラーニューロンシステムは本当に生まれつき備わっているものか?

ヒトが何かをしているのを見ている時も、実際に自分が動いている時も共にコードする様なシステムをミラーシステムというそうですが、今日取り上げる論文は。このミラーシステムがどのような仕組みでこんなことができているのかについて調べたものです。

結論から言うと、ミラーシステムというのは生まれつきできあがったものではなく、学習による要素が大きいのではないかということが述べられています。

実験では他人が人差し指を動かすのを見ながら自分の小指を動かす練習を繰り返し行うと、練習前は他人の人差し指の動きの観察に対応して、自分の人差し指を動かす領域が働いていたのに、練習後は他人の人差し指の動きの観察に対応して、自分の小指を動かす領域が活動するようになることが示されています。

このようなことからミラーシステムというのは観察と実行の繰り返しによって成立する可変的なもので、生得的で固定的なものではないのではないかということが述べられています。

【要旨】
遺伝子検査のジーンライフ<Genesis2.0>

「ミラーシステムを構成する神経細胞は、人が何かをしているのを見ている時も、また同じ事を自分が行っている時も、ともに発火するような性質を持っている。ヒトとサルの運動前野と頭頂葉で発見されたこのミラーシステムは、社会における理解や、心の理論や言語の発達の基盤になっていると考えられている。しかしこのミラーシステムがいかにしてこの性質を獲得するのか、あるいはいかにして観察された動作から必要な情報を引き出すのかについては明らかになっていない。本研究では他者の動作を観察させているときに観察している動作とは異なる運動を行なってもらい、その結果ミラーシステムにどのような変化が起こるのかについて調べた。上記の介入を行ったあとでは観察された動作に関わるミラーシステムに変化が認められた。これらの結果からミラーシステムの性質は完全に生得的なものではなく、また一度獲得したものが固定される性質のものでもないことが考えられた。またヒトにおいては社会的な相互作用がミラーシステムの形成に関与していることが考えられた。」

参考URL:Sensorimotor learning configures the human mirror system.
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