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報酬と注意はどう違うのか?

「注意して聞いてよ!」「全然注意が足りてない!」とかいろんなことが言われる注意ですが、そもそも注意とは何なのでしょう。

何かに気持ちを向けていることが注意なら、ヒトは絶えず、生まれてから死ぬまで何かに注意しているということになるではないかと思います。

五感を通してカラダに入ってくる情報は莫大です。

それにも関わらず、ヒトが意識できるのは莫大な情報の中のごく一部分、手に持った携帯電話のディスプレイだけであったり、会話している相手の顔だけであったり、昨日食べた美味しい晩御飯で今を忘れたり、ごくごく一部の情報のみが絞りこまれて、それが意識に上ってくる。

こんなふうに情報が絞り込まれることを注意と定義するなら、ヒトは生まれてから死ぬまでが何かに対する注意の連続なのではないかと思います。

こういった注意の本態を探る研究というのは今まで取り上げてきたように数多くあるのですが、その多くは報酬条件を与えて注意をさせるというスタイルになっているようです。

例えばサルに何かに注意させる、注意を条件付けるために成功したらジュースをあげるだとか、そこで起こった注意反応とその脳活動を調べるだとか、そんな感じで注意と報酬が結び付けられて実験が行われていることが多いそうです。

こういった注意反応を調べる研究とは別に報酬反応を調べる研究もあるそうです。

報酬が脳活動やパフォーマンスにどのような影響を与えるか、報酬があるときとないときの脳活動の変化を調べる、そういった研究もあるそうです。

しかしこの2つを並べてみると、じゃあ報酬反応と注意反応の違いって何?という話になるのではないかと思います。

ことばを言い換えると、個体は報酬のある方に注意する、報酬を求めて注意する、ならば報酬反応と注意反応の2つを分けること自体に意味があるのかという話にもなるのではないかと思います。

たしかにヒトを対象にした実験では、報酬を与えずに何かに注意させる実験もあるかもしれません。

しかしそういった場合でも、きちんと注意することで、ヒトに肯定されるという報酬があるとも考えられます。

言いつけを守ることで認められるという社会的報酬がある、それゆえヒトは注意課題で何かに注意することができる。

そう考えると注意と報酬というのは切るに切り離せなく、どこまでが報酬でどこからが注意かというのは割り切れないのではないかということが今日取り上げる論文で述べられています。

【要旨】
「多くの神経心理学的研究において空間的注意や恐怖が神経活動にどのような影響を与えるかという研究がなされてきた。また報酬が神経活動にどのような影響を与えるかについての研究もなされてきた。このように注意と報酬は異なるものと認識されているものの、実際にはこの注意と報酬を明確に分けることは困難であると考える。実際に多くの実験では報酬が付帯条件となって注意課題が行われることもその背景にある。本稿ではこの注意と報酬がいかに混同されてきたかについて述べ、この2つを二分することの不確実性について述べる。」

参考URL:Neuronal representations of cognitive state: reward or attention?




コメント

異論はあるとは思いますが、ヒトは好きな事しかやっていないと常々考えています。

嫌な上司がいてたまらない、だとか、嫁が嫌いだ、とかこんな閉塞した国我慢できないだとか、色いろあるとは思うのですが

上司が嫌だったら、時間をかけて上司のキャラを変える、あるいは自分の考え方を変える、転職する、上司の上司にチクって上司を陥れる、自分が頑張って出世して上司と同じかそれ以上のポジションになる、いろんな選択肢があると思うのですが

とりあえず自分の感情と行動を抑えて、上司と揉めず、時折陰口悪口を言って、アクションを起こすことから引き起こされうるいろんな潜在的なリスクを避ける、という消極的な報酬を選択しているとも言えるのかなと思うのです。

これは給料が安いとか、人間関係が悪いだとか、いろいろあるにしろ、リスクをとるよりも結局がそっちのほうがいいと考えて、ある状況にいるわけで

職場の悪口や妻の悪口、政治の悪口をいっているにしろ、結局は現状に報酬を感じて、変化に報酬を感じず、現状を選択しているのだろうなと思います。

いろんな状況にしても、結局は全部自分で選んだ結果だし、そこにとどまるのも自分が選ぶわけだし

全部自分で選んでいるということが自覚出来ればいいんだろうなと思います。

何をしようとも、どこに行こうとも、どうなろうとも、結局はヒトは報酬を求めて行動し続ける生き物なんだろうなと思います。

 

 

 

 

 

 

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