「「あなたが誰だか知っている、でも私は誰だ?」子どもと大人における自己に関わる想起と社会的想起の神経基盤」
ピーターパンといえば自由闊達な子供の代名詞のよう取り上げられますが、自由闊達な子どもと成長した大人ではものの見方というのはどれくらい違うものなのでしょうか。
今日取り上げる論文は自分や他人のことを考えている時の脳活動について、子どもと大人で比較したものです。
結果を述べるとやはり大人の脳とと子供の脳では違いが見られたそうです。
その違いの解釈としては、大人の方が何かを認識する際に記憶のバイアスを受けやすく、子供の脳は見たもの聞いたものをそのまま素直に認識する傾向があるのではないかということが述べられています。
子供の素直な見方というのはきっと記憶に縛られない見方なのかなと思いました。
|
【要旨】
先行研究から自分のことを考えている時には内側前頭前野と後部内側頭頂葉の活動が関係していることが報告されている。しかしながら発達学的に調査を行ったものはない。本研究では12名の児童と12名の成人を対象に、自分に関する情報を提示された時と馴染み深い他者(ハリーポッター)の情報を提示された時の脳活動について機能的MRIを使用して測定を行った。結果両群ともに自分のことに関する情報処理には内側前頭前野が後部内側頭頂葉と比較して活動の増加が認められ、他者のことを考えている時には後部内側頭頂葉の方により強い活動が認められた。児童と成人の比較では児童のほうが自分の情報を処理するときに内側前頭前野の活動が高いことが示された。後部内側頭頂葉の活動に関しては児童と成人で相違が見られ、成人では後部楔前部の活動が関与していたのに対し、児童では前部楔前部と後帯状皮質に活動の関与が認められた。また児童だけが自分に関係している情報を処理している時に内側前頭前野にベースライン以上の活動が認められた。本稿では内側前頭前野と社会的な認知機能の発達過程の関係について論考を行う。
コメント
少し詳しい話をすると(興味のない方はスルーしてください)
脳はいろんなシステムが組み合わさってできているのですが、その中でもデフォルトモードネットワークと呼ばれる心の理解に関わるようなものがあり
大人の方がこの心の理解システムの中でも記憶と関連した領域の活動(後部楔前部)が強く
子供の方が主観的な認識と関係する領域の活動が強く
子供のほうが記憶に囚われずに見たまんま聞いたまんまに素直に認識できるのではないかということが仮説的な解釈として取り上げられています(実証はされてはいないです)
大人になるというのは記憶に縛られてものを見るようになるということなのかなと思ったり
あるいは自由闊達な大人というのは記憶に縛られない見方ができることなのかなと思ったり
そんなことを考えました。
添付の画像は「冷静でいろ、成長はするな」と書いてありますが、”成長”ってなんだろうと考えたりします。