世の中には脳波測定器というものがあります。
脳というのはコンピュータではないのですが電気信号の受け渡しで動いています。
脳の神経細胞の一個一個の電気信号は驚くくらい微弱だそうですが、それでも何千何万の膨大な数の神経細胞が何かのパターンで活動するとその微弱な電気信号がまとまってなんらかのパターンとなって「脳波」という波の形で検出されるそうです。
この脳波の中でもある特定の心的活動、これは例えば認知だとか注意だとかそういった特殊なイベントと関連するような脳波があり、それは事象関連電位と呼ばれているそうです。
今日取り上げる論文はその中の一つであるP300と呼ばれる要素についてのものです。
添付の画像を見てもらえば分かるように刺激の提示から300~400ミリ秒後に現れる上向きのPositiveな波がP300と呼ばれるものです。
この論文によるとこのP300は細かく見ると先行的なP3a要素とP3b要素に分けられること、
またP3aが刺激のボトムアップ的な前頭系の注意活動を反映し、P3bはその後の記憶と関連した側頭-頭頂系の注意活動を反映していることが説明されています。
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ポイント
本稿では事象関連電位の一つであるp300について、その振幅、潜時、総合的な特徴について最新の知見を述べる。
P300はP3aとP3bに分けられるがこの二つが神経心理学的にどのようなものであるのか、またどのようにして注意課題においてターゲットの検出の難しさが頭蓋トポグラフィの違いに影響しているかについて説明を行う。
さらにP3aとP3bが脳のどの領域に由来するものか認知活動における概略的なモデルを提示する。P3aは刺激駆動による前部注意システムを反映したものであり、P3bは側頭頭頂葉の記憶処理と結びついた注意活動を反映していると考えられる。
また神経伝達物質との関連ではP3aは前頭/ドーパミン駆動型のシステムであるのに対し、P3bは頭頂/ノルエピネフリン駆動型のシステムであることを説明する。
神経抑制機構はP300を説明する上で重要なものであり、これは記憶の操作に基づく刺激の検出に関係していると考えられる。
参考URL:
Updating P300: an integrative theory of P3a and P3b.