フォローする
【脳科学専門ネット図書館】会員募集〜ワンコインで世界中の脳科学文献を日本語要約〜

なぜ新製品は目を引くのか?

世の中には生肉をドレスにしたアーティストやまだ見たことがないような芸風の芸人など色んなモノがありますが、「新商品」「新製品」など新奇なものというのはヒトの目を引きます。

しかしながらなぜヒトは新しいものに「目を引かれる」のでしょうか。

脳波測定で新奇なものを見ている時の脳活動を測定するとある特定の波形が見られることが知られています。

これは刺激が提示されてから300ミリ秒後の上向きのpositiveな波形であることからP300と呼ばれる波形成分なのですが、今日取り上げる論文は脳の活動を直接見ることができる別の装置を使って詳しくその活動を探ってみたものです。

結論を述べると新奇な事象を目にした時は脳の中での前頭前野と海馬の二つの領域が強く働くこと、また新奇な事象が繰り返されるとすぐにこの二つの領域の反応が低下することが示されています。

ポイント

一般に新奇なものに注意が向くという性質があるが、これは学習や記憶の成立に関わる重要なものである。この無意識に新奇なものに注意が向くという反応はその事象が頻繁に現れることで急速に消失していく。

脳損傷患者を対象にした事象関連電位による研究から新奇な事象の発見には連合野と辺縁系の関わりが指摘されているが詳細については明らかになっていない。

本研究では新奇な事象に注意を向ける課題を行っている時の脳活動を4テスラの機能的MRIを使用して測定を行った。

結果、新奇な事象に対する脳反応は10回の刺激提示で急速に減弱することが示された。

新奇な刺激に対しては両側の上/中前頭回、側頭頭頂接合部、上頭頂小葉、帯状回、海馬、紡錘状回の活動が認められた。

この内両側の上/中前頭回と海馬の反応は数回新奇な事象を見せることで急激に低下を示した。

またこの上/中前頭回と海馬は提示された新奇な事象に注意を向けるよう意識している時も、また意識していない時も同様に反応することが示された。

これらの結果から前頭前野と海馬は新奇な事象を検出し、その後迅速に純化することが考えられた

参考URL:
Rapid prefrontal-hippocampal habituation to novel events.

補足コメント

つまり目新しい物に対しては海馬と前頭前野がコネクションを作って働いて反応する。

でもなんで記憶に関わる海馬が新奇事象の迅速な検出に関わるのだろうと思って画像を調べてみたら

添付の図のように海馬というのは驚きシステムの中枢になる扁桃体と連絡している。

一般に目に入った情報というのはそれが刺激的であれば扁桃体に迅速につなぐような視覚経路があるのだけれども

海馬ー前頭前野のコネクションの前に扁桃体が絡んで新奇な事象の迅速な注意反応というものがあるんだろうか。

注意を引きたかったら目新しいものというのはやはり正しい戦略のようです。

かつそういった戦略による効果は迅速に薄まるというのも頭の隅においたほうがいいんだろうなと思います。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします