「安静時の機能的MRIデータの解析と解釈における利点と注意点」
ネットワーク理論でよく聞く言葉に「六次の隔たり」というものがあります。
これは世界は広いけど大体6人位でつなげば世界中のどんな人ともつながれるというものです。友達の友達の・・でつないでいけばアメリカの大統領だろうがイタリアの片田舎の牧童だろうが大体6回くらいでつながることが出来る。
しかしながら数十億の人口がいる地球でなぜ6ステップでつながるなんてことが可能なのでしょうか。
これは国際線と国内線の飛行機ネットワークを考えてみれば分かりやすいかもしれません。
日本や韓国、アメリカ、フランス、世界中の国にはそれぞれ国内線のネットワークがあり、そのネットワークを繋ぐ形で国際線ネットワークが構成されています。
こういったことがあるので日本の地方都市から南米の地方都市まで3,4回のステップで乗り継ぐことができるのではないかと思います。各駅停車の大陸縦断鉄道だったらとてもこんな風には行かないでしょう。
前置きは長くなりましたが脳というのも飛行機の国内線/国際線ネットワークとおんなじように六次の隔たりでつながるような作りになっているようです。
つまり添付の図のように小さいネットワークが組み合わさってもう一段階大きいネットワークが構成されている、そんな作りになっており、それゆえ情報伝達もずいぶん早いものになっているそうです。
今日取り上げる論文は脳のネットワーク解析について述べたものですが、ある手法を使えば国内線のような小さいネットワークも検出できることが説明されています。
|
【要旨】
過去15年にわたって安静時の機能的MRI神経画像研究は大きな進歩を遂げた。脳が機能的で分散された大規模なネットワークで繋がっているという事実は他の神経科学領域の研究に大きな寄与となった。この脳のネットワーク的な理解が認知心理学や臨床診断や治療に役立てられるとは思うが現段階では方法論的問題もあり十分に実現化されてはいない。本稿ではシードに基づいた相関解析と独立要素解析について取り上げ説明を行う。これらの解析方法の進歩が今後人の神経活動構造を研究する上で重要であると考える。
参考URL:Advances and pitfalls in the analysis and interpretation of resting-state FMRI data.