フォローする
【脳科学専門ネット図書館】会員募集〜ワンコインで世界中の脳科学文献を日本語要約〜

「自分のことを考えている時の前島皮質の活動」

脳というのは鉄道網とよく似ています。

鉄道網であればターミナル駅のようなものがあって、いろんな電車が乗り入れて乗客はそこで乗り換えてというようなものがありますが、脳の中にも同じようなところがあって、そこには身体内外の情報が広く集積しては散っていくとうようなことがなされているようです。

この脳のターミナル駅の中でも代表的なものに島皮質といわれる場所があります。これは脳の表面から見えない皺の奥深くにあるような場所なのですが、添付の図のように味覚や視覚、触覚や聴覚いろんな情報が集まって主観的な感覚の立ち上げに関わっているとされています。

今日取り上げる論文はこの島皮質のことを調べたものですが、私達自身が自分に関係のある情報を見るときにもこの島皮質の一部が強く働いており、この島皮質が自己認知に深く関係しているのではないかということが述べられています。

【要旨】
背景:先行研究によって自分のことを考えている時には前頭葉と頭頂葉の内側面を含む領域が活動することが報告されている。この領域に加えて島皮質も自分のことを認識するときに活動するとされているが詳細に調査したものはない。

方法/主な発見:実験では自己、他者、それ以外の認知の3条件で機能的MRIを使用して関連する脳活動について調査を行った。結果自分のことを認識する時には従来報告されていた大脳内側面領域に加えて左の前頭皮質に有意な活動増加を認めた。

結論:本実験の結果から前部内側前頭前野と前帯状皮質、島皮質が自分のことを認識する時に活動することが示された。島皮質は身体内部の情報が広く集積される領域であり、それゆえ自分に関わる情報の認識に伴う生理的変化が集積され自己認知に関係して活動を高めることが考えられた。

参考URL :Activation of anterior insula during self-reflection.

コメント

私たち人間には主観があって

これはビールを飲めば「うめー!」と思うし転んで膝をすりむけば「いてー!」と思う。なにもああこれは麦芽の割合と比例して旨さが27%ましているという風には認識しない。ビールを飲むことによって引き起こされる感覚は数値ではなく「うめー!すげーうめー!」である。

島皮質というのは身体内外のセンサーが組み上げた情報を集めてこういった主観を立ち上げるのに関係しているようなのですが、これは自分に関係する情報を見た時も一緒で

自分に関係する情報というのはそれ自体が私たちの主観を揺すぶるような刺激だからではないかということが述べられています。

うつうつして自分に関心が持てないような時というのはこの島皮質の活動も少し違ったものになっているのかなと思いました。

メンタルがグラグラきやすい梅雨の時期、気をつけましょう(-_-;)

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします