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外在的注意と光情報の検出

今日取り上げる論文は、視覚的な注意が、どこまで本人の意図を反映していているのか、あるいはどこまで視覚対象がもつ刺激によって駆動されるものなのかということを論じたものです。

この議論は未だに決着がついていないようなのですが、この論文では外在的な要素が注意システムを駆動しているのではないかということを論じています。

これは視界に光情報が入ると、何らかの意思が立ち上がる前に、自動的にその光情報の差異(色、形、輝度)を検出するシステムがあり、ここで検出された著明な差異が注意システムに送られて、そこで注意が立ち上がるのではないかということが述べられています。

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【要旨】

「視覚的注意に関わる最も基本的な問題として、これがどの程度まで対象の持つ刺激特性によってコントロールされるのか、あるいはどの程度まで本人の意図、目標、新年というものにコントロールされているのかというものがある。選択的注意システムが働く前に、前-注意的なシステムが視野空間に対して基本的な分析を行い、視界に入った情報を機能的な知覚単位に分割している。問題になるのは、この前-注意システムに見られる作用が外部刺激によるものなのか、あるいは観察者の意図を反映した内在的なものなのかということである。本稿では、基本的な特徴(特定の色、形、輝度)に注意を向ける課題において、注意の内在性、外在性について論じた研究の総括を行う。総括の結果、視覚システムは自動的に視界に入った情報の差異(色、形、輝度)を分析し、その特徴的な差異をさらなる分析を行う“中央表象”に送るという外在的な方法で分析していると考えた。」

参考URL:Endogenous and exogenous control of visual selection.

コメント
自分の意志が先か、対象刺激が先かというのは、卵が先か、鶏が先かという話にも似てどうかなと思うのですが、半側空間無視のことを考えるとなかなか興味ふかいトピックだと思います。

今、赤ん坊がいて、大概の場合はお母さんの手や顔をじっと目で追っているのですが

これはお母さんの顔という視覚刺激があるからなのか、それともお母さんに興味があるという本人の気持ちが先なのか、内在性が先か外在性が先かという話なのですが
どっちが先だとか後だとか、切り分けられないような気もします。
そんなことを考えていたら、以前取り上げたメタ可塑性の話を思い出しました。
つまり今、お母さんを目で追っているという注意の背景には、生後140日間の母子の相互関係という歴史があって、その歴史が現在の反応に重み付けをしているということで

注意というのは、その瞬間瞬間だけで切り出して考えられるものなのではないのではないかということです。

自分の心が先、外の刺激が先というよりは、自分と外との関係の中で自然に立ち上がってくるような関係、どちらが原因でどちらが結果とも言えない自己組織化ということばがるのですが、そんなことなのかなと考えたりしました。

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