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今日取り上げる論文は睡眠時の聴覚処理について調べたものです。

結論から述べると

① 程度の差はあるが、ノンレム睡眠時も覚醒時も聴覚処理に関わる領域は聴覚刺激によって賦活されている。
② ノンレム睡眠時においても扁桃体は有意味な事象の検出に関わっている。

というものです。
もう少し平たく言うと、寝ている時でも起きている時でも扁桃体は働いていて、外部状況の変化を検出できるように頑張っている、ということかなと思います。

実験ではノンレム睡眠時や覚醒時に様々な聴覚刺激を与えて脳の反応を測定したのですが、ノンレム睡眠時でも、普通の電子音と較べて、自分の名前が呼ばれるような場面では、左扁桃体と左前頭前野が強く賦活されることが示されています。

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【要旨】

「今回脳波と機能的MRIの同期測定を行い、睡眠-覚醒サイクルにおける聴覚刺激に対応する神経生理学的反応を調べた。結果、聴覚刺激によって覚醒時もノンレム睡眠時もともに両側の聴覚野と視床、尾状核の活動が促されることが認められた。しかしながら左頭頂葉と両側の前頭前野、帯状皮質、視床はノンレム睡眠時には活動が低下していることが認められた。これらの領域は覚醒時において入力された聴覚刺激が意識的な知覚として処理される際に働いていることが考えられた。またノンレム睡眠時には左扁桃体と左前頭前野が、特別に効果的な名称刺激を与えることで賦活されることが認められた。これらの領域は、睡眠時においても聴覚処理に関わり、かつ有意味な事象の検出に関わっていることが考えられた。」

参考URL:Auditory processing across the sleep-wake cycle: simultaneous EEG and fMRI monitoring in humans.

コメント
経験的に、覚醒レベルの低い患者さんの気を引くのに、患者さんの名前の呼びかけから入っていたのは、やはりそれなりの脳の仕組みがあったのだなあと思いました。
 授業中、うつらうつらしていても自分の名前を呼ばれてはっとするようなのも、扁桃体を中心とするシステムが頑張ってくれているからなのかなとも思いました。
 扁桃体というと、不安とか恐怖に関わるおどろおどろしいところというイメージがありましたが、
 もう少し広い文脈で捉えると、覚醒レベルの調整に関わるようなところなのでしょうか。
またいろいろ調べていきたいと思います。

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