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ミラーニューロンのメカニズムとは?

ミラーニューロンシステムというのは他者の行為を理解するシステムだと言われているのですが、これがどのような形でなされているかについて調べたのが、今日の論文です。

目の前の相手が何をしているのかを理解するためには、動きだけを見るのではなくて、何に対して動いているかを理解しなければならない。

テーブルの上のみかんに手を伸ばそうとしているのか、赤ん坊の頭を撫でようとしているのか、動作だけを見ただけでは、何をどうしようとしているのかは分からない。

行為の理解というのは常に、動作+対象物の形でなされると思うのですが、これがどのようになされているかについて述べられています。

結論を簡単に述べると、動作の認識は頭頂葉経由のwhere経路を介してF5領域(ヒトでの相同部位は44野)に送られ、そこで動詞(握る、撫でる、つまむ)として理解されるようです。

これに対して対象物の理解は側頭葉経由のwhat経路を介して45野に送られることでなされるようです。

F5領域で生成された動詞情報が、この45野に送られ、動詞情報と対象物情報が合わさって、行為の理解が生じるのではないかということが述べられています。



文章だけだとよくわからないので、この間の図式と合わせて書くと

F5野(44野:動詞生成)←頭頂葉下部(where?)←視覚野

45野(動詞+モノ)←← 中側頭回(what?)←視覚野

↕           ↕
紡錘状回内側部(”モノ”情報)

(扁桃体・海馬・海馬傍回(情動・記憶情報))

の並びがあって、45野で情報が統合されて、目の前で繰り広げられている「行為(動き+対象物)」の理解になるということになるのかと思います。

【要旨】
「他者の行為を観察することで、サルの腹側運動前野が活動することが知られている。このサルの腹側運動前野の活動は、その行為がどのような「物品」に対して行われているのかを反映するのではなく、その行為がどのような「動作」なのかを反映することが知られている。今回サルを対象に様々な状況で手で握っている画像を提示し、その時の腹側運動前野の活動について調べた。結果、握る動作の手の部分だけを観察している時には腹側運動前野のF5吻側部、45B野、45A野、46野の4つの領域が活動していた。これとは対称的に握る動作を人を含めた全体像で観察させたところ以上の4つの領域に加え、F5尾側部でも活動が見られた。これらの結果からF5領域でも動作の抽象性は異なって表象されることが考えられた。対象物品の観察のみでは45野に活動が見られ、F5野では活動が見られなかった。以上のことから動作と対象物の情報が45野で統合されることが動作の理解に重要な役割をはたすことが考えられた。」

参考URL:Observing others: multiple action representation in the frontal lobe.

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