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ミラーニューロンと一次運動野の関係とは?

ミラーニューロンシステムというのは、ある動作を見ている時も、実際に行っている時も共にコードするようなシステムだそうですが、基本的には、前頭葉(腹側運動前野)と頭頂葉(頭頂間溝)、側頭葉(上側頭溝)の3つを結ぶシステムだそうです。

今日取り上げる論文は、運動の本丸である一次運動野も、このミラーニューロンシステム同様に、見ている時も実際に動いている時も、共に運動に含まれる同じ情報をコードして活動することを示したものです。

もしある運動を見ただけで一次運動野が活動するなら、見ているだけで勝手にカラダがうねうね動いて収集がつかなくなるはずなのですが、前頭前野や前部帯状皮質、補足運動野がうまく抑制をかけていてくれているのではないか、あるいは実際の運動につながるためには一次運動野が活動だけでは不十分なのではないかということが述べられています。

観察している時も、実際に動いている時も一次運動野が活動するのなら、実際の運動をするところを観察させることで、一次運動野を賦活させるような形で神経系のリハビリテーションに応用できないかという話もされています。

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要旨

「慣れ親しんだ動作を実際に行っている時も、その動作を観察している時も共通した活動が運動野で見られることが数多く報告されている。本稿では、慣れ親しんだ動作を行っている時も観察しているときも、一次運動野と腹側運動前野の神経細胞がともに共通して活動していることを、サルを対象にした一連の実験の結果から示す。実験の結果から一次運動野も腹側運動前野も、実際に動いている時やそれを観察しているときに、その運動に含まれる様々な情報を反映して活動していることが分かった。今回の結果から、標準的なミラーニューロンシステムに含まれていない一次運動野も、動作の実行と観察の両方で共に活動することが示されたが、この結果は脳波測定から得られた先行研究とも一致していた。この一次運動野に見られた、観察と実行の両方に共通して見られた神経活動は、運動学習や動作の模倣、コミュニケーションに関わっていることが考えられた。また麻痺肢における神経可塑性による機能改善にも応用できることが考えられた。」

参考URL:Congruent activity during action and action observation in motor cortex.





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