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音声知覚と上側頭回の関係とは?

今日取り上げる論文は音声知覚について調べたものです。

音声知覚には大きく分けて二種類あるようです。

ひとつは音の「かたち」を知覚するもの、例えば「ペレポレパテタ」というような意味のない音声を、そのまんまの音の形として知覚するようなものと、もうひとつは音の「意味」を知覚するもの、例えば「ハムレット」というと、ああ、これはシェークスピアの作品の名前だったっけ、みたいな感じで、意味のあることばとして知覚するようなもの、こういった二種類の音声知覚があるそうです。

この「かたち」知覚にしても「意味」知覚にしても、その前段階で両側の上側頭回の後方を抜けてくるので、この部位が音声知覚にもっとも大事な部位なのではないかということが述べられています。

図は上側頭回

【要旨】

「言語知覚を機能神経解剖学的に捉えることには困難が伴う。その理由は言語知覚がその課題によってそれぞれ異なる神経基盤によってなされるからである。伝統的な言語知覚に関する実験、例えば音節を分別したり同定したりするような実験から多くの結果が得られてきたが、このような実験結果は日常生活における言語知覚システムのごく一面のみを捉えたものである。本総説では両側の上部側頭葉の後部領域が音声言語を処理する上で最も重要な部位であり、この部位でなされた音声表象に関する情報が、より上位のシステムに送られ、課題によって異なった仕方で処理されると考え、これを検討する。この音声表象が意味を持つ語彙として処理される時は音声表象と意味処理の接合部となる側頭-頭頂-後頭接合部に送られる。またこれが発話としてなされる場合には音声表象と発話運動の接合部となる左半球の前頭葉及び頭頂葉に送られる。この音声表象と発話運動の接合部は音韻ワーキングメモリに関しても作動するものと考えられる。」

参考URL:Towards a functional neuroanatomy of speech perception.

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コメント

「かたち」と「意味」といえば視覚の背側経路(頭頂葉を抜ける空間認識経路)と腹側経路(側頭葉を抜ける意味認識経路)がありますが

聴覚にもやはり「(音の)かたち」知覚に関わる背側経路と「(音の)意味」知覚に関わる腹側経路があることが提唱されているようで

これに関して詳しくまとめた論文を次回引っ張ってきたいと思います。よろしくお願いします。

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